二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 平助’sエピソード 〜薄桜鬼〜 ( No.19 )
日時: 2010/09/04 21:48
名前: 桜架 (ID: q9W3Aa/j)

エピソード参『伝えられない・伝えたい』


〜平助side〜




俺はさっきから周りをキョロキョロさせていた。
理由は一つ。 千鶴の姿が見当たらないことだ。
いつの間にか俺と新八っつぁんと芸者だけで、左之さんも見あたらない。
まさか・・・——
俺は嫌な予感がして立ち上がる。


「藤堂はん、どないしてはったん?」

「平助、いきなりどうした?」


俺は新八っつぁんと芸者の言葉を無視して部屋を飛び出した。
——まさか、二人で抜け出しかよっ!?
まえまえから思ってた。 二人の仲がいいこと。
今日だって千鶴を元気付けるために、左之さんが計画した。

正直焦った。

俺はどうせ、悩み事を聞いてやることしか・・・・
震える肩を、抱きしめられなくて、手を握ってやることしか・・・・
できねぇんだから。

だからいつも素直な左之さんが羨ましかった。

「どうした?なにがあった?」と素直に聞けて。
「大丈夫か?」と声を掛けて。
「平気だって」と頭を優しく撫でて。


大変なご時世とか、生意気なこといって言い訳して、
いつも逃げてた。
自分の気持ちに気付いてたのに、無理矢理蓋をしてた。
散々逃げてたのに、今頃他の男と楽しそうに喋っているなんて
想像しただけで苦しくなる。
嫉妬してる自分が情けなくて、嫌になる。


伝えたいのに伝えられないんじゃない。
伝えようとしてないだけだっ・・・!!


俺は拳を握り締めながら千鶴を探した。
ただただ夢中で走り続けた・・・。