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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 爆想サザエさん ( No.95 )
- 日時: 2010/11/28 10:19
- 名前: ACT (ID: nrzyoCaD)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
18
「バーブーーー!」
外から子供の軽快な声が聞こえた。この声はもしや……。
玄関の扉が開く。タイコのあいさつとサザエの声が聞こえた。それと共にタラオの部屋へとどたどたと足音が近づいてきた。
「ハーーイ!!」
タラオの前にブラウンの髪の少年が現れた。彼は波野イクラ、通称イクラちゃん。小学生なのだが「バーブ」や「ハーイ」などの赤ちゃん言葉しかしゃべることができない。タラオを呼ぶ時なんかは「チャーン」だ。彼の母、タイコもおかしいのではないかと、病院に行かせようとしているところである。しかし肝心のイクラが嫌がっているため行かせられないのであるという。
タラオは彼が嫌いだ。わがままで自己中心的な考え。それにこのしゃべり方ときたら嫌いになるしかない。それにもう一つ嫌いになる理由があった。
「チャーン!」
……うざい。
「おいイクラ、邪魔なんだよ。どっか行け。消えろ」
「……バーブー」
タラオの覇気に押されたのか、イクラはどこかに去って行った。
安堵したタラオは立ちあがり、トイレに行った。その帰り、居間に通りかかった時だ。
「そう言えば最近ここら辺で動物虐待事件が起きているそうじゃない」
「そうそう、怖いわよね〜」
サザエとタイコの世間話が偶然耳に入った。タラオは立ち止り、ハッと息をのむ。急に怖くなり、走って部屋に帰った。
急いで扉を閉め、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。おそらく彼の隣に人がいたら心臓の鼓動が聞こえていただろう。
俯いていた顔をなんとなく上げる。目の前の窓の向こうにはタラオが恐れていた存在、イクラがいた。
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