二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: リボーン 神様のドルチェ【500突破ありがとうございます!】 ( No.129 )
日時: 2010/11/01 19:01
名前: 無花果 ◆j6drxNgx9M (ID: 2Sdxx4yv)

「本当なのか!?」

山本がアリサに訊ねる。
アリサは頷いた。

「はい。父と母はとうの昔に亡くなったものですから・・・私とスクアーロはイタリアの親類の所でお世話になったのです」

リボーンが口を挟む。

「しかし、俺がまだディーノの家庭教師をやっていた時、ディーノの通っていた学校の宿舎で見たぞ?」
「あぁ、その時にはもうスクアーロをボンゴレⅨ世に預けたんです。父とⅨ世は仲が良かったものですから」
「そん時お前は何処にいたんだ?」

獄寺が訊ね、アリサは苦笑いをしながら言った。

「私はアメリカの親戚の所へ養女として生活していたのです。・・・ですから私はイタリアではS(スペルビ)・アリサで、その他の国ではアリサ・アリフェルとなります」
「そんな事情が・・・」

ツナが驚く。
アリサは春を見る。

「そしてアメリカの町をふらふら歩いていた私を拾ってくださったのが主だったのです」
「良い側近がいなかったからね」

春が突き放つ。
しかしそれが冗談だと分かっているのか、アリサはにっこりと微笑んだ。
山本がじゃあ、とアリサに言う。

「スクアーロの好きな物とか分かるか?」
「スクアーロは・・・“序曲”とか好きでしたよ」
「序曲??」

ツナが鸚鵡オウム返しに訊く。
春が答えた。

「曲の最初ですよ」
「あ、スクアーロはそういうのが好きなんだ。意外・・・」
「そうなんですか?」

ツナが苦笑いしながら言った。
アリサが驚く。

「私の知っているスクアーロはいつもクラシック音楽を聴いていました。特に好きだったのはジェイムズ・バーンズの“アルヴァマー序曲”ですね」
「本当に意外だな」

ははっ、と山本が笑う。
一方獄寺は何か考えていたようで、急に顔を上げてアリサに言った。

「・・・お前の母ちゃん・・・なんて名前だ?」
「は、・・・S・エレクリオですが・・・」


「あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」



そしていきなり大声を上げた。
ツナが驚く。

「な、どうしたの獄寺君!!」
「S・エレクリオ!知ってるぞ!!有名なピアニストだ!いきなり行方が知れなくなったからどうしたのかと思ってたが・・・まさか結婚してたなんて!」
「母をご存知なんですか?」
「知ってるも何も・・・同じピアノ奏者だからな」
「そうだったのですか」

アリサは少しだけ悲しげに微笑む。
それを見て、春はツナに言った。

「・・・Ⅹ世、その位でお控え下さい」
「・・・え?どうして?」
「アリサは興奮すると声が大きくなる癖がございます故、お気に障られるかと」
「あ、そこはスクアーロとそっくりなんだね。いいよ、気にしてないからさ」
「ま、スクアーロは興奮しなくてもおっきいけどな☆」
「だな」

にっこりと微笑むツナ達を見て、アリサは申し訳ございません、と赤面しながら言った。
春が思い出したようにアリサに言う。

「・・・そうだ、貴女、ヴァリアーにいる弟に会いに行かなくてもいいの?その為に風月の部隊に入ったんじゃなかった?」
「主がお気になさる事ではございません。いずれ会えます。同じボンゴレにいるのですから」

そう、と春は再び前を向く。

(・・・さっきもそうだった。俺達に控えろと言ったのは、アリサが楽しかった事と同時に、悲しかった事も思い出してしまうから・・・。さっき会いに行かなくてもいいのかと訊ねたのは、アリサの事を思って・・・。春って———無口で無表情だけど、本当は凄く優しい子なのかも・・・)

そんな春を見て、ツナは心の中で思った。



(もっと仲良くなれれば———いいな)



ツナの家まで、あと少し。


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引用...アルヴァマー序曲 作曲者:ジェイムズ・バーンズ
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