二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 21話up! ( No.116 )
- 日時: 2011/03/26 10:40
- 名前: 葵 ◆ufwYWRNgSQ (ID: LR1GMCO/)
22話 暗器使い来る!
———————————(雪浪視点)
やっぱり、ツナには敵わないのかも知れないな。
あぁ見えて意外にボンゴレの事考えてるし、俺なんかよりよっぽどだ。
後は………。
「あの徹底した善人主義をどうしたら普通に変えられるか、かな」
俺はボンゴレファミリーの十代目に、ツナは相応しいと思ってる。
後はもう少しの野心と、知恵と、考え方をまるきり変えさせれば、ツナはきっと良い十代目になれる。
修行をしていて思った事だけれど、ツナの戦闘のセンスは抜群だ。
もっと強くなりたいという気持ちさえあれば、ツナは何処までだって行ける。
向こうから明日香が駆けて来る。
俺を探しに来てくれたのかな。
「雪浪! 此処にいたのか! もう直にキルの戦いが始まるぞ!?」
「うん、分かってる。直に行くから……待ってて?」
「………嗚呼」
明日香は不服だと言わんばかりに表情をしかめる。
けど、直ぐに表情を戻して、明日香は一人で先に戻って行った。
急いで行かなくちゃ、明日香か一焔が迎えに来てしまうだろうな。
………ツナ、俺は君が羨ましいよ。
裕福な日々を暮らして来た、君が羨ましい。
俺ももし君と同じ立場なら、君と同じ様な人生を歩んでいただろうか?
…まぁ、此の世界も慣れたらそれなりに楽しいけどさ。
「さてと、早く行こう。な、ロキ?」
「……あはは、やっぱり雪浪には敵わないなぁ」
近くの木の後ろから、ロキが出て来る。
何が面白いのかは知らないが、ケラケラと笑っている。
ロキとはそこそこ長い付き合いだ。
いい加減、ロキのやりそうな事も分かって来た気がする。
「会話………聞いてたのか?」
「ん? ……さぁてね。俺には何の事やらさっぱり♪」
不敵に笑うロキ。
………本当に敵わないのはお前だよ、ロキ。
通り過ぎる時にロキの頭をパコンと叩いて、笑い掛ける。
大切な、仲間。
最早家族に近い物だろうと思う。
本当に居心地が良いな、キュリアは………。
———————————
ツナと雪浪…迎えに行った明日香が戻って来ないうち(ロキは初めいなかった)から、雨戦は始まった。
水が辺りから降り注ぎ、足場が水のせいで滑りやすくなっている。
無論山本は此の地形を理解しているのだが、キルは本日初めてのアクエリオンである。
滑りやすい足場にキルは舌打ちを溢しながらも、表情は晴れやかだった。
というか、そもそも舌打ちをして相手を威嚇するのがキルのやり方なのである(山本には効かない)。
「先手必勝だろ? 早く来いよ」
キルは不敵に微笑み、山本に挑発する。
山本は刀を構えているが、キルは丸腰だ。
「お前………武器無いのか?」
「はっ……幾ら俺でも無理な話だぜ。ま、戦えば分かる話だろ? 来てみろよ」
「…じゃ、遠慮無く!」
山本が刀を片手にキルの元に向かう。
キルが妖しげな笑みを浮かばせた途端………山本の頬の真横を、“何か”が通り過ぎた。
山本が其れが何かを確認しようとキルの手元を見ると、キルの手には銃が握られていた。
「キル……だっけ? お前の武器は銃か? 小僧と一緒だな!」
「はっ、とんだ馬鹿だな。一焔も随分と馬鹿を育てたもんだッ!」
___バンバンバンバンッ!
乱射としか言い様の無い感じで、キルは発砲する。
山本は持ち前の運動神経と反射神経で、いとも簡単にキルの銃弾を蹴散らした。
其れに苛々でも募ったのか、キルは懐からもう一つ銃を出し、乱射する。
銃が弾切れになり、キルは舌打ちを漏らした。
「弾切れか?」
「馬鹿を言うな! 俺の武器に………切れるという文字はねぇッ!」
何処からかキルはマシンガンを取り出す。
「ははっ、手品か何かか?」
「手品? ンな訳あるか。暗器だよ、暗器。俺は様々な武器を持ち歩いてる。銃なんかじゃ、お前には当たらないみたいだからな。マシンガンのが速度速いって知ってるか?」
弾を込めながら、キルは呟く。
「ま、あんな陳腐なモンでお前を倒せるだなんて考えちゃいなかった。此処からは………実験だ」
「実験?」
「そうだ。お前が一体、何処までの速度なら耐えられるか………。そして、新しい条件。万一俺の暗器を出し尽くす事が出来れば、お前は戦わずして俺に勝てる。どうだ? 悪い話じゃねぇだろ?」
キルは満足げに笑う。
そんなキルに、山本はニコリと無邪気な笑顔を覗かせた。
「悪いけど……俺、真面目に戦いたいんだよな。ツナ達、守りたいから」
「……チッ。面白味の無い野郎だぜ。なら、こっちは全力で行くぜ?」
マシンガンの引き金に指を掛け、キルは言った。
山本は浮かばせていた笑みを消し、真面目な表情で刀を構えた。