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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: HUNTER×HUNTER 短編集 ( No.2 )
- 日時: 2011/01/03 07:35
- 名前: 葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
窓から空を見上げる、金と蒼の瞳をした少女。
風に揺れるカーテンが、ふわりと外へ飛び出した。
動じる様子も無く少女は空を見上げるが、その顔には何の表情も浮かんでいない。
—此処から飛び降りたら、死ねるかな。
もう、悲しい思いは、しなくて済むかな。
「はは・・・。何してんだろ、私。」
コンクリートの灰色の地面と、青い空に聳えた高い建物や騒音。
その全てが酷く滑稽に思えて、口から嘲笑が漏れた。
死のうとしたのは何回目か。
そう飛び降りようと窓の外の景色を見ると、やっぱりこんな所で醜く死ぬのは嫌だと思いとどまってしまう。
外に引っ張り出されたカーテンを仕舞おうと窓の外に手を伸ばす。
「取った」
カーテンと彼女を支えていた棒が滑り落ちて、バランスを失った彼女の体が窓の外へと落ちていった。
「あ・・・」
風の音が耳に激しく響いて灰色の地面が近くなる。
目の前に見ていた世界が反転して、次に空を映し出した。
・・・死んじゃうのかな。
それもいいやと考えていた時もあったが、死を目の前にするとやっぱり怖いと思った。
目を瞑って、目の前の光が消えるのを向かい入れる。
—でも、その光は消えないままで。
かしゃん、カーテンの棒が落ちた音だけが、耳に聞こえた。
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