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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.120 )
- 日時: 2012/01/05 21:18
- 名前: 勾菜 (ID: rdOgUgjF)
〜麗菜〜
何かに引き寄せられるようにして、目を開く。
ここは何処だろうか…
いつもわたしがいる、あの場所じゃない。
そのとき、音がした。
耳の奥に鳴り響く、音。
「なに…?」
その音に引き寄せられるようにして、歩みを進める。
しばらくその闇の中を歩く。
ふと視界に青がみえた。
まさかと思ってその方向へ駆けだす。
考えることはしなかった。
あの青は見知ったものだったから…
急に視界が開けた。
そこにいたのは——…
「———宵藍」
久々に見る、彼だった。
私は一瞬このまま近づくべきか悩んだ。
だけど私は、近づくことを選んだ。
「ごめんね…宵藍…」
意識を失っているであろう、彼の額に手を当て、何度も呟く。
謝ってすむことじゃないかも知れないけど、それでも。
ふいに頬に熱を感じた。
ハッとして目を開けると蒼い瞳と視線がぶつかった。
頬の熱は彼が触れている掌からだった。
ふと思いつき、首紐からひびの入った瑠璃の勾玉をとる。
そして、それを彼の手に握らせる。
「——…」
それを見た彼が何かを呟くが、それが音になることはなかった。
ぽたりと、彼の顔に自分の泪が落ちる。
その瞬間、二人はまばゆい光に包まれた。
短い逢瀬の証拠は、瑠璃の勾玉を首にかけるために使っていた革紐、ただ一つだった。
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