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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.126 )
- 日時: 2012/01/18 20:33
- 名前: 勾菜 (ID: YuPjYlyf)
〜櫻〜
ふいに私にとっては忌々しい気配を感じスッと目を開いた。
「十二神将、騰陀……あれだけでは足りなかったのか…」
ふうと、息をついていまだに気を失ったままの昌浩を担ぐ。
そのままふらりと、気配を探っているだろう神将の前に姿を見せる。
すると、私にもわかるほどに気配が鋭くなったのが感じられた。
剣呑に細められた金の双眸が私を射止める。
「…櫻」
そう呼ばれたことに私は満足げな笑みを浮かべた。
「まあ…あの娘が来なかったことは予想外だけれども…これを返そうと思って」
これ、の部分でちらっと昌浩を見ると、彼は眉間のしわの本数を増やした。
「…なぜ、返しに来た?お前らが連れて行ったくせに」
「なぜって…いらなくなったから、かしら?
使わないものをこちらにおいておいても無駄なだけだもの」
言いながら神将に一歩近づく。
「……」
それに警戒したらしい気配を感じ取り、苦笑を洩らした。
「今日は攻撃しに来たわけではない。
まったく…話聞いてた?」
挑発的な態度に神将の周りが一気に氷点下まで下がる。
それに、不穏なものを感じ取りその場に昌浩を横たえ、私は神将に背を向けた。
「…おい」
「言ったでしょ、今日は返しに来ただけだって」
ひらひらと手を振りながらその場から私は消えた。
再び会うのはそう遠いことではないだろう、そう思いながら。
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