二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 〜漆黒のキオク〜     ( No.38 )
日時: 2011/03/22 21:17
名前: 春華 (ID: 3i70snR8)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?617881

第4話 〜帰宅後は〜 (藍編)


藍「ただいま〜!」

普通の家よりは、少し大きな家。子供がわんさかいる、にぎやかな家。
でも、藍にとっては此処が本当の家庭ではない。此処は児童養護施設………
親に捨てられた孤児たちが集まる家。藍も、そんな孤児であった。

優「藍お姉ちゃん!おかえり〜!見て見て、保育園で鶴折ったんだよ〜すごいでしょ!」

優(ゆう)という、小さな女の子。まだ赤子の時この施設にやってきた子だ。
その掌には、桃色の、何度も失敗したのかクシャクシャの折り鶴が乗っていた。

藍「わぁ!すごいね!可愛いね〜^^」

疲れているというのに、必死で笑顔を作る。

優「でしょ?でしょ?やったぁ〜!藍お姉ちゃんが褒めてくれたぁ〜!」

無邪気に笑いながら言うと、大勢いる子供たちの中に戻っていった。

藍「ふぅ………疲れたなぁ………でもいっか!お姉ちゃんに会えたんだもの」

いつもは帰ってくるとかなり疲れているのが分かるようなやつれた表情であるが、
今日だけは少し微笑んでいた。
そんな空気もつかの間……

「藍ちゃん!?いるなら夕飯の支度手伝ってちょうだい!」

1階の食堂からここを経営するおばさんの声がする。
いつもは優しくおっとりしているおばさんだが、今日は苛立っている。
声音からその様な感じが読み取れた。


夕飯を食べ終われば風炉を入れ、施設の子供たち全員の布団を敷く。
すべて最年長である藍が一人でやる。毎日の事だが、藍にはそれが地獄のように思えていた。

藍「ふぁ……眠い……」

これは毎晩のようにいう、口癖。疲れ切ったこの体を布団の中に入れると、
もう何もやる気が出ない。睡魔に襲われ、一言でるくらいだ。
もう真夜中。何も知らない……知るよしもない、皆は静かに、または豪快な鼾をかきながら寝ている。

「おやすみ………」

とても小さいその声は、誰かの鼾によってかき消された。




第4話終わり