二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 異世界の危機 アニメネタバレ? 投稿! ( No.78 )
- 日時: 2011/04/16 18:05
- 名前: 桜花火 (ID: /HyWNmZ0)
28 士郎とアツヤ
夏「待ちなさい!」
春「夏未…貴女には失望した。分かり合えるかと思ったのに……私たちと戦いたいなら『ブラックキャッスル』まで来なさい、待ってるわ。」
そういうと、四人の姿は風と共に消えた。
その直後、『冬花』は地面に倒れこんだ。
茜「姫様!しっかりなさってください!!」
茜が姫を抱き起す。
そこへ、刺された足を引きずりながら夏未がやってきた。
?「大丈夫か、夏未!」
向こう側から、二人少年が息を切らせてやってきた。
一人は黄緑色の髪をポニーテイルにした少年、
もう一人は赤みの強い桃色の後ろ髪が逆立った髪型をした少年。
夏「遅い!何をしていたの!?」
その一人の少年が目に入った吹雪が驚いた様子で少年たちを見ていた。
もちろん、円堂たちも例外ではない。
一人の少年の名はリュウジ、円堂たちの世界の緑川リュウジに酷似している。
そしてもう一人が—
吹「ア、ツヤ?」
夏「なんでそんなに行動が遅いの?そんなんだからランクが上がらない…って聞いてるの?アツヤ!?」
吹雪に名前を呼ばれた少年、アツヤも目を見開いて吹雪の方を見ていた。
その横から、夏未が叫んでいるが、そんなことは彼の耳には入っていない。
アツヤが息を飲み込んだ。
アツヤ「……兄貴?」
円「吹雪、お前の弟って確か…」
吹「亡くなったのに、どうしてここに…」
夏「アツヤく〜ん、聞いていますかぁ〜?ちょっ、どこに行くのよ!?」
アツヤが吹雪の方へ一歩一歩ゆっくり進んできた。
そして、吹雪の前までに来ると立ち止まり、吹雪をジッと見つめた。
アツヤ「名前…」
吹「えっ?」
アツヤ「お前の名前なんて言うんだ?」
吹「吹雪……『士郎』…」
アツヤ「本当の本当に、兄貴なのか?」
豪(そうか…こいつは俺たちが別の所から来たことは知らないのか…どうする、吹雪?)
吹雪自身も動揺していた、本当はお兄ちゃんだ、といいたい。
しかし、それではここにいる『アツヤ』を騙すことになる。
吹雪は深呼吸をして目の前にいる『違う存在』のアツヤに真実を伝えた。
吹「ごめんね、違うんだ」
アツヤ「え?」
吹「僕はアツヤの知っている『士郎』なんかじゃない…僕は別の世界から来た士郎なんだ…」
アツヤ「別の世界……よかった…」
吹「?」
急にアツヤは下を向いた。
アツヤ「別の世界の兄貴が『生きていて』よかったよ…」
円「生きていてって…」
アツヤ「こっちの兄貴はもういないから…」
鬼「これを言うのは難だが、亡くなっているという事か?」
鬼道の言葉にゆっくりうなずく。
アツヤ「兄貴は、『士郎』は雪崩に巻き込まれて死んだから、父さんと母さんも…残ったのは俺一人」
吹「同じ!?」
アツヤ「なにが?」
吹「僕も弟のアツヤがいて、それで雪崩に巻き込まれて…」
アツヤ「こんなことって…」
目の前にいるのは双子の片割れ、
吹雪の世界では『アツヤ』
アツヤの世界では『士郎』
がいない。
例え目の前にいるのが自分の知っている人でなくても、アツヤはうれしかった。
違う世界で、士郎が生きているという事が。
すると、アツヤは笑顔で吹雪に向き合った。
アツヤ「ハハッ、もし本当にお前が俺の知っている『士郎』だったら、今、この手でぶっとばすところだった」
吹「僕もだよ、生きているのになんでこんなところにいるのかって」
似た者同士がお互い微笑んでいた。
アツヤ「なぁ…」
吹「なに?」
アツヤ「お前が自分の世界に帰る時まで、『兄貴』って呼んでていいか?」
吹「うん!」
吹雪の目から涙が一粒、地面に落ちた。