二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.188 )
日時: 2011/08/09 21:31
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

 僕は過去に依存するしか、それしかないんだ。


#01 僕はいやだ

 
 過去の僕と手を繋いで、仲良く歩く今までを美化した道。ただし、歩いているのは今までで、これからの道は真っ白。歩いてすら居ない。僕は、今までの最後に来たらまた君を引き連れて戻る。それの繰り返し。
 他の奴らの相手は、僕じゃなくなっていく。また、変わっていく。僕ではなくなっていく。だから僕は前に進めなくなって、僕に依存するんだ。あの頃の、弱くなかった自分に。
 こんな人生が楽しいのか正しいのか、自分でも分からない。ふと、君に尋ねてみた。過去の僕は冷たい瞳で、僕を嘲笑う様に言った。

 「僕の人生が正しいよ」

それは本当の言葉か? 僕は僕が信じられない。吐き気がする。うずくまって落ち込む。君は「だって」と、言葉を紡いだ。

 「僕はずっと、僕に一途なんだ。偉いでしょ?」

ああ——そうだった。僕はずっと僕の為に動いているんだ。一途なんだよ、僕に。偉いのかどうかも分からないけれど、君が言うのならそれで正解にしておこう。
 誰かが僕を見下ろして、笑っていた気がする。


 達成感なんてとうの昔に忘れました。達成する気力もその後の喜びもある訳ない。ただ僕は言われた事を淡々とこなす。それだけ。恋愛感情も失った。君も居ないし感情も置いたままだし。頼りなのは過去の僕だけ。今の僕は、過去の僕より役立たない。成長も止まってしまった。
 だからさ、どうせならさ。僕が進めないなら、僕の頭に残っている歴史を止める唄を全力で唄うよ。僕のこの左の手首から、勢いに任せて赤い唄を唄う。開いた傷からはじわじわ赤い音が流れる。じわじわ痛みが来る。ああでも歴史が止まればいいのに、と思うだけで本当は全力で拒否している。叫んでいる。心の涙が雫になって、僕の腕を滴り落ちる。
 僕の涙が落ちるのは、この星。鉄の匂いと、赤いそれは僕が生きている証だった。生きているけれど、止まっている証だった。いつまでも動けない。いつまでも過去に縋り寄っている。そんな自分が、どうしようもなくて嫌だった。