二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク曲】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.434 )
- 日時: 2012/09/19 19:22
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: lcUCuO5M)
- 参照: グロリアス・ワールド │ 思想は頭で、グラスは心。
虚空に紛れた、たった一言。
#01 張りつめた「私」という独り。
ギターを鳴らした。
それはとても拙く、汚いけれど、私はこの音が好きだった。好きだった。
鳴らした音は残響となって、白く透って消えていく。無音に紛れて、なくなっていく。今の私もそんな感じで、ギターが壁に当たって部屋中に響く音も、好きだったのに笑えない。聞く度に、人の顔が出てきてどうにも笑えない。
私の心に刺さるあいつらの言葉。私という個性が、否定されて剥がれ落ちていく感触。自分自身もよく分からなくなってる。私の何がいいのか、私のギターが何で好きだったのか、あいつらに陰口を叩かれて、洗脳されていくようだ。
ただ遠く、薄れ行く記憶の中で呟いた。
私を悪く言う人が居ない場所で。私のことを知らない人が居る場所で。文字で形成された溜息。
——私は、ちょうどそこに居ます。あなたが望むならば、私は毎日ここに居ます。
だから私に居場所をちょうだいよ、なんて。ツイッターで呟いただけじゃ誰にも届くはずはなく。誰にも何も言われずに、そのまま溜息は流れていった。
*
どれだけ嫌だと言っても、親は聞いちゃくれない。私がどんなに辛いと言っても、私を見てはくれないのだ。
ああ、泣きたいなあ。私を哂うあいつらが、私を睨んだ。その視線を感じたくなくて、机に顔を突っ伏した。
傾いた足場だっていい。しがみついてみせるから。ひとつだけでいいから、「私」という人が生きれる居場所をくれないか。別に、いいだろう? それくらいの、ことだからさ。
そんな言葉さえ、届けようと声に出したら、本気にされず哂われる。
そのままにして、どこにも出せずに積もって溢れそうになった枯れた思想を、冷えた心に注ぎ込めば。それはすぐにいっぱいになる。気休め程度に起こった表面張力は、私はいずれ自由になれるって、本当に気休め程度の希望を表した。
あぁでも、張りつめた私は今すぐに崩れそうだ。
「くるしいなぁ……」
誰にも気付かれない声で、そっと呟いた。