二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】〜俺のサッカー〜『第七章・明かされる記憶』 ( No.322 )
日時: 2012/03/11 20:39
名前: まい (ID: a2VLYb41)

〜第20話〜「すべての真実」
※ちょっとアニメと違う部分アリ。あと星二郎さんが黒いです。会話文長くてすいません※


しばらく長い廊下を歩いていくと一番奥の部屋があった。自動ドアが開き、全員が一気に入れた。中はドーム状になっていて壁や床、天井が同じ青色の光が付いていた。まるで、来客を迎えるようだ。
 次の瞬間、天井の方に50〜60代くらいの男の声が聞こえた。すぐに見上げれば、宙に浮いている人物・・・・・吉良 星二郎がいた。どうやら、立体映像で映し出されているようだ。

星『日本国首脳陣の皆様、おまたせしました。只今より我が国が強大な国家として世界に君臨するためのプレゼンテーションを始めさせていただきます・・・・・
さて、今日は謎に包まれたエイリア学園の衝撃の真実をお話しいたしましょう』

急に出された一番知りたい疑問だ。全員が星二郎の言葉に耳を傾けた。星二郎はゆっくりと微笑みを浮かべて呟くように話し始めた。


『自らを星のヒトと名乗る彼らでありますが、その正体は・・・・実は宇宙人ではないのです』


雷に打たれたような衝撃が走る真実を突き付けられて驚きを隠せない雷門イレブン。ほとんどの人は見開いてその場で固まってしまう。暁は瞳を閉じて星二郎の話に集中した。

星『すべては10年前に落ちた隕石から始まったのです。富士山麓に落下した隕石。そこから人間の身体能力を最大限に引き出す物質が発見されました。その名は、エイリア石です。
 我々はこの素晴らしい物質を有効利用するために研究を重ねました。そして、ついにエイリア石を使い、人間の力を飛躍的に強化させることに成功しました。
私は総理大臣・・・・・財前 宗助にこのエイリア石の力を使って強い選手を作る計画を提案しました。それがハイソルジャー計画です。
ハイソルジャーが人類の歴史を創造するのです。しかし、事も有ろうに財前総理はこの夢のような計画を拒絶しました・・・・・・』

それは、日本を制圧して国を変えようとしている恐ろしい内容の話だ。
総理を誘拐する前に交渉でもしたようだが、こんな内容の計画を総理が承知するはずないのに気が付いていないであろうか。星二郎には常識が通じないのだろうか。しばしの沈黙が続いた。

星『そこで、ハイソルジャーの素晴らしさをサッカー好きな総理に分かりやすい方法で示したんですよ。エイリア学園という使者を送り込んで』

確かに総理はサッカーが大好きだ。だが、力を見せつけるためだけにサッカーを利用したという。そう捕らえれば、じわりと怒りが込み上げて自然と拳を力強く握る。颯音は下唇をかんで声を震わせる。

颯「つまり、エイリア石で強化した人間がエイリア学園の正体で、今回の騒動は計画の一部に過ぎなかったということかよ・・・・・・なんのために、そんなくだらないことを!?」
星『くだらない事ではありません。言ったでしょう。————— 我が国が強大な国家として世界に君臨するためと。そのための道具も必要なのです』

【道具】
その言葉を聞いた瞬間に暁は思い切り奥歯を噛みしめた。その様子に気が付いた颯音は背中に冷や汗を掻いたのを覚えた。なぜかと言うと、今の暁はおそらく、怒っている・・・・・いや、怒り狂っているだろう。顔が言葉で表現できない程にまで怖いのである。
 星二郎が映し出されていた立体映像は消えて、向かい側の自動ドアが開かれる。部屋全体に目を開けられないくらいの強烈な白い光が差し込んでくる。その光の正体は太陽だった。ドアには青白くて細長い男性が軽く頭を下げながら立っていた。
男性は光の方へ歩いていく。どこかへ案内するようだ。全員、小走りで男性の後について行った。








連れてこられたのは日本風の庭に、寺のように大きい家だった。男性が中に入ってしばらくすれば、星二郎が出てきた。
 星二郎を見るや否や暁は前にいた円堂を押し退けて、星二郎へ一直線。両手で胸倉を掴んで自分の方へ引き寄せた。普段の暁なら絶対に起こさない行動に全員が肩をはねた。

暁「今すぐハイソルジャー計画を中止しろ!!」
土「お、落ち着けよ!」

発した声も荒々しく、完全に人格が変わっているようだった。慌てて近くにいた土門と颯音が暁を星二郎から引きはがす。暴力でもふるったら危険だ。
それを回避するため、二人係で両手を自分の腕に組ませる。振り払おうとする力が強く、少しでも力をゆるめたら確実に振りほどかれる。

暁「離せ! こいつを殴らせろ!!」
颯「少しは冷静になってくれ! この人は確かにすべての黒幕だ!! だけど、兄貴が殴って治まる問題じゃないことぐらい分かっているだろ!」
暁「気付かないのか!? 俺達もこいつらの計画の一部に取り入れられていた事に!!」

言われた瞬間に力が抜けて固定されていた腕も自由になる。暁も感情を少しでも抑えるため、深呼吸をする。特に瞳子は驚愕の表情で暁を見つめ始めた。星二郎は掴まれていた胸倉部分辺りの服の形を整えた。

瞳「そ、それって一体どういうことなの?」
星「気が付きましたか・・・・・では、最初になぜ一番弱いジェネミストームを送り込んだのかお分かりいただけましたか?」

細く目を開いて星二郎が口角を上げる。暁は全員の様子を見まわしてから、一歩前に出て、そっぽを向きながら申し訳なさそうに口を開いた。

暁「エイリア学園と戦い抜き、鍛えられてきた俺達がいずれ、ジェネシスにとって最高の対戦相手になるから・・・・・ジェネミストームから送ってきた。
初めに一番強いジェネシスと対戦しても力の差は天と地だ。それに、最強チームの強さを総理に十分アピール出来ないからだろ。あくまでもこれは、さっきの話を聞いて推理した結果だ。合っているか?」

星「100点満点の解答ですね。ここまで理解できていたとは正直、驚きました」

わざとらしく一人で軽く拍手を送る。その態度もムカついたのか暁は大きな舌打ちをする。瞳子は視線を下に落として今まで自分がやってきたことを回想する。
帝国学園では佐久間や源田を助けようとしなかった。染岡が怪我をしていたことは知っていたのにすぐに病院へ行かせなかった。「勝つことが自分の使命」と言い訳をして吹雪の過去をずっと黙っていたせいで、吹雪に無茶をさせてしまった。

すべてはエイリア学園を止めるために、チームを強くするために必要と考えて行動したのだ。だが、星二郎の手の平で踊らされていたと思えば、何もかも無駄に感じてしまうのだ。

瞳「そんな・・・・・私はお父さんを止めるために、このハイソルジャー計画を止めるために、戦ってきたのに・・・・・・私がしてきたことはすべて、エイリア学園のためだったの? 雷門イレブンを利用してしまったのかもしれない・・・・・私には監督の資格なんて」

円「違う!! 監督は俺達の監督だ!」

両手で拳を作って力強く叫んだ。瞳子は顔を上げる。円堂の真っ直ぐな目は光り輝く太陽のように優しく感じ取れた。息を整えて円堂は熱く語る。

円「監督は俺達が強くなる作戦を考えてくれた! 次につながる負け方を教えてくれた! 俺達の挑戦を見守ってくれた! だから、ここまで来れたんだ!!・・・・・・俺達は瞳子監督が必要なんです。最後まで俺達と一緒に戦ってください!」

颯「そうです! 瞳子監督がいてくれたから、俺も強くなったし・・・・感謝していますよ」
吹「監督。僕も監督に感謝しています」
瞳「・・・・・円堂君、みんな」

すべてを和解した雷門イレブン。ここまで来たのは瞳子監督のおかげだったのは事実だ。自然と瞳子も笑顔がこぼれた。その様子を見た星二郎は妬むように呟く。

星「瞳子も随分良い子達と出会ったのですね」
暁「おい、大仏。俺が言いたいこと聞いてもらっていいか?」
星「出来るだけ手短にお願いします」

低い声で威嚇(いかく)するように発すると。今にも爆発しそうな想いを抑え込んで、出来るだけ平然を装って言葉を並べていった。

暁「別にエイリア石って言う石の研究をしたとか、サッカーを侵略する道具にするとか、日本を制圧するとか、そこら辺は全く怒ってないんですよ。
でも、どんな理由があろうが。自分の勝手だけで動いてどれだけ周りの人間を巻き込んでいるのか気付いていない・・・・・仲間や友達と家族を!! 【計画の一部】や【道具】呼ばわりする大バカ野郎は絶対に許さねぇ!!!」

だんだん声も大きくなり怒りをあらわにする表情になっていく。星二郎は威圧感に押されて一瞬だけ金縛りにかかったかのように動かなくなった。動かなくなったことを自覚すれば顔を歪ませる。

星「では、その想いを試合で証明してください。どうせ、ジェネシスが勝ちますけどね」
暁「試合は結果だけでは判断できませんよ。なら、試合をごゆっくりと見物してください」
星「もちろん、そのつもりですよ」

少し笑みを浮かべた星二郎は男性と一緒に背を向けてその場を立ち去っていく。暁はその背中を細やかな目で見つめていた。襖(ふすま)を閉めて、星二郎は研崎に耳打ちする。

星「研崎、ジェネシスへ暁 直也を潰すように指示してください」
研「・・・・・はい」

—————————— 研崎は深く礼をして、星二郎から離れて行った