二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 『花騎士物語』 ( No.75 )
- 日時: 2011/03/29 13:36
- 名前: 薔薇結晶 (ID: fgNCgvNG)
- 参照: http://blogs.yahoo.co.jp/gran_fenrir/2549590.html
第37話 「『シリウス』」
ジュリア「懐かしいわね…。」
馬車から身を乗り出して、心地よい風を受けるジュリア。
その呟きを聞いたサクラが問いかける。
サクラ「何が?」
ジュリア「だって、私が王国軍に駆り出されたのは6年前の事だもの。6年間の間に、街に何があったのかも分からないし…。」
ただ、と付け加える。
その話はすでに馬車の中の全員が聞いていた。
ジュリア「…3年前、国王が『シリウス』を攻撃したのだけ、それだけは分かるわ。」
マーク「俺もそれだけは知ってる。逆に、それしか知らない…。」
ディラン「ミーもだよ。」
マーク「…あっけなく、やられたんだってな。」
3人の表情が沈む。
マーク「街には、カズヤとドモンが居たはずだ。なのに…何故…。」
ディラン「ドモンは『花器』を持ってなかったけど…。」
ジュリア「それに、『大犬小屋』には秋さんが居たはずよ。そんな簡単にやられる訳…。」
すると、ガタッっと馬車が止まった。
恐る恐る、エドガーが口を開く。
エドガー「…着きましたよ。」
エドガーの上を飛び越しながら、ジュリアが音を立てずに降りた。
魔槍を片手に。
皆『花器』を持って馬車を降りた。
そして、『シリウス』の街の門をくぐった。
ジュリア「…街並、結構変わったわね。」
マーク「そうだな…。こんなに大きな通りは無かった。」
いつもより、小さな声で話す2人。
サクラ「…何処に向かってるの?」
ジュリア「『大犬小屋』。いわゆる病院ね。」
サクラ「何で?」
ジュリア「足を、見てもらおうと思って。」
サクラ「足?何で?」
マーク「この間崖から落ちてな。ジュリアは足を痛めたんだ。」
ジュリア「そう言うマークも右腕をね。」
淡々と続ける。
すると、ジュリアが立ち止った。
そして何かを見つめる。
ジュリア「クレア叔母さん…?」
クレア・クラウン。
ジュリアの叔母である。
彼女も、ジュリアに気が付いたようだ。
クレア「…ジュリア、ちゃん…?」
ジュリア「おっ、叔母さん…!!」
クレア「ジュリアちゃん!ジュリアちゃんなのね!!」
「ジュリア」と言う名前を聞いて、街の人々も気が付いたようだ。
「ジュリア?」
「おぉ、ジュリアが帰ってきたのか!」
「マークとディランも居るぞ!!」
「良かった!3人共無事だったのね!!」
サクラ「ジュリア達って有名人なんだ?」
ジュリア「さ、さぁ…?」
マーク「知らない。」
ディラン「ミーもだよ。」
本人達はそう言っているが、実際は名前を知らない者が居ないくらいの超有名人なのだ。
その騒ぎは段々大きくなっていく。
そんな時だった。
??「ジュリアさん!」
ジュリア「あっ…、日奈乃?」
日奈乃「帰って来られたんですね!良かったです!!」
ジュリア「え、えぇ。」
ハッと、ジュリアは何かに気が付く。
日奈乃が手にしているものだ。
ジュリア「貴女…【雛罌粟】…。」
日奈乃「…秋さん、3年前倒れてから、今までずっと昏睡状態で…眠ってらっしゃるんです。」
ジュリア「…3年前…?」
日奈乃「はい…、王国軍の…襲撃の時です。一之瀬さんも土門さんも出て行ったばっかりで…。」
ジュリア「…カズヤとアスカが出て行った?」
日奈乃「はい。無言で…秋さん、泣きながら止めてました…。」
ジュリア「……【雛罌粟】も効かないの?」
日奈乃「全然です…。秋さん自身なら…別かもしれませんけど…。」
ジュリア「…連れて行ってくれないかしら。」
日奈乃「は、はい。」
第37話 終わり