二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ムントVSレンジ 3 ( No.194 )
日時: 2011/06/13 16:59
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)

「出て来い、オノノクス」
「行って来い、シュバルゴ!」
ムントとレンジはそれぞれポケモンを繰り出す。
「オノノクス、ドラゴンクロー」
「シュバルゴ、アイアンヘッド!」
オノノクスの繰り出す龍の爪に対し、シュバルゴは鋼鉄のように硬い頭で押し切る。
「さらに、切り裂く!」
そしてオノノクスが怯んだ隙に、槍のような手の先端で切り裂く。
「瓦割り」
だがオノノクスもその程度ではやられず、シュバルゴの脳天に思い切り手刀を叩き込む。
「一旦引け、シュバルゴ。ラスターカノンだ!」
シュバルゴはオノノクスから距離を取ると、両槍の先端の間に光を集め、それをオノノクスに発射する。
「龍の舞——」
オノノクスはその攻撃を龍の舞いで避けようとするが、それは叶わなかった。何故なら
「メガホーン!」
シュバルゴはラスターカノン発射後すぐにオノノクスに突っ込み、その槍の先端でオノノクスを突き刺したのだ。
「ぐぅ……」
ムントとオノノクスは呻く。さらにオノノクスにはラスターカノンの追撃もある。
「ドラゴンクロー!」
とりあえずオノノクスはシュバルゴを引き剥がそうとドラゴンクローを放つ。
龍の力を込めた爪は避けられたが、当初の目的は達成できた。
「切り裂く攻撃!」
しかしシュバルゴはまたもオノノクスに接近、攻撃をして距離を取る。良く言えばヒット&アウェイ、悪く言えば当て逃げだ。
「俺はインディほど頭は回んないけどよ、レドよりかは良い方だぜ」
「…………」
インディはともかく、ムントはレドの事を知らないので、沈黙。
「さあ、さっきのまどろっこしいバトルのお返しだ。メガホーン!」
シュバルゴは勢い良くオノノクスを槍で突き刺す。
オノノクスは巨体ゆえに攻撃力が高く、耐久性にも優れている。それがオノノクスの利点だ。しかし利点があれば欠点もあるわけで、オノノクスは巨体ゆえに強く、巨体ゆえに堅いが、巨体ゆえに鈍いのだ。それは間違いなくオノノクスの欠点。さらにオノノクスは巨体ゆえに小回りが利かないのだ。
シュバルゴも強くて堅くて鈍いが、この場合は程度と性質と地形がシュバルゴの味方をしている。シュバルゴは確かに攻撃力が高いが、オノノクスほどではないし、シュバルゴは確かに堅いが、実際は守りが堅牢なのではなく装甲が硬いのだ。その分オノノクスよりも速く動ける。そして地形、この場は大きな水溜りとも言えるセッカの湿原。地に足を着けているオノノクスには不利だが、シュバルゴは浮いているため有利も不利もない。
攻撃力の程度ではオノノクスの方が上、シュバルゴとオノノクスでは守りの性質が違う、その分シュバルゴの方が速い。さらに地形はオノノクスにとって不利。この3つの要素が働いて、オノノクスはシュバルゴからのヒット&アウェイ攻撃を受け続けているのだ。
「…………」
この状況を打破することは可能だ。しかしそれを使えば大変なことになるのは火を見るよりも明らかだ。
そしてムントは
「オノノクス、地震」
結構あっさりとそれを使った。
オノノクスが使ったのは地震。分かるとは思うが、地面を猛烈に振動させて敵を攻撃する技である。
シュバルゴは確かに浮いてはいるが、決して飛行タイプでも特性が浮遊なわけでもない。なので一応地震は食らう。
「だが、こんな場面でその技を使ったってのは引っ掛かるな。一体何を考え——」
「見れば分かる」
ムントはレンジの言葉を遮って言う。しかし彼の言う事は正しく、何故この局面で地震を使ったのかはすぐに明らかになる。
「!? これは、水が……引いている!?」
そう、今ムントとレンジが戦っている場所は他よりも比較的乾燥しているところなのだが、それでも水が溜まっているのには変わりがない。だからオノノクスはこのぬかるむフィールドでシュバルゴに押されていた。
だがそこでオノノクスは、フィールドの中でもさらに乾燥していて固いところから地震を発生させ、地盤が緩んでいるここらの地面に亀裂を作り、水分を全て吸収した。
「オノノクス、瓦割り」
オノノクスは水気がなくなって動きやすくなった地面を蹴り、シュバルゴに急接近、勢い良く手刀を振り下ろす。
「シュバルゴ……」
手刀はシュバルゴの脳天にクリティカルヒットし、地面に落とす。
「ふっ——」
ムントが一区切りついたように息を吐く。だが実際は区切りなどついてはいなかった。
「シュバルゴ、メガホーン!」
倒れたはずのシュバルゴが——いや体勢は倒れたままだが、その状態で勢い良く槍を突き出し、オノノクスを吹っ飛ばす。
「オノノクス……」
慌てたようにムントは振り向く。そこにはオノノクスの倒れた姿があり、どう見ても戦闘不能だった。
「ハッ、俺のシュバルゴの特性は虫の知らせ。さっきの瓦割りは効いたけどよ、それでも俺のシュバルゴはまだやられてなかったんだ。だけどダメージは相当なモンで、もう一撃入ってたら確実にやられてたわな。だがしかし、それは虫の知らせを発動させるトリガーになっちまったわけだ」
特性、虫の知らせ。
体力が限界を迎える頃に発動する特性で、発動したら虫タイプの技の威力が1,5倍になるのだ。
「さあ、お前の残りポケモンは1体だ。次はどんなポケモンを見せてくれるんだ?」
レンジは、威圧的にそう言うのであった。