二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 108章 アシガタナ ( No.250 )
日時: 2011/07/02 12:31
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
参照: http://pokegai.jp/

「エンブオー、ニトロチャージ!」
エンブオーは地面を踏み鳴らして砂煙を舞い上げ、炎を纏って突撃する。しかし今までは直線的な突撃だったが、今回のは迂回してダイケンキの胴体を狙うような攻撃だ。
「ダイケンキ、全方位に吹雪!」
対するダイケンキは物怖じせず、猛烈な吹雪を一方でなく、全方位に吹き荒ばせる。
「エンブオー、吹雪を突っ切って!」
しかしエンブオーは炎を纏っているため、吹雪で止まるような事はなく、最終的にはダイケンキへの攻撃は成功した。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキは攻撃を受けたものの、吹雪での威力軽減とタイプ相性で大したダメージにはならず、カウンターでシェルブレードを見舞う。
「下がってエンブオー。もう一度ニトロチャージ!」
ダイケンキから距離を取ったエンブオーは、再度炎を纏って突撃する。
そしてこのニトロチャージは、ダイケンキへ直接攻撃するつもりがないのか、ダイケンキの周囲をぐるぐると回っているだけだった。
「ダイケンキ、吹雪だ」
ダイケンキは自分の周囲を走り回っているエンブオーに吹雪を放つも、避けられる。
「あれ……?」
イリスはここで、異変に気付く。
「エンブオー、アームハンマー!」
気付いたのは良いが、それによって一瞬バトルから気が逸れ、ダイケンキはエンブオー拳を食らう。
「ニトロチャージで回って」
そしてエンブオーは地面を踏み鳴らす動作を省略して、炎を纏いまたダイケンキの周囲を回る。
そしてこの行動で、ベルの作戦が分かった。しかし、分かった時には、もう詰んだも同然だった。
「ニトロチャージで素早さを上げたエンブオーによるヒット&アウェイ……これが君の作戦か、ベル……!」
イリスが気付いた異変とは、エンブオーが速い事である。エンブオーはその巨体ゆえにそんなに速くない、というかはっきり言って鈍い。ダイケンキも結構素早さは低い方だが、それでもエンブオーよりは速い。
なのでイリスはエンブオーの素早さに、異変を感じたのだ。ちなみに気付くのが遅かったのは、ダイケンキが動かず、エンブオーの素早さと比較するものが無かったからである。
何故エンブオーが速くなったのか。それは単純明快、技の追加効果である。もっと詳しく言えば、ニトロチャージの効果だ。ニトロチャージは攻撃の度にそのポケモンの素早さを上げる効果がある。それをエンブオーは既に7回も使用している。一応、エンブオーの使うアームハンマーはリスクとして自身の素早さを下げる効果があるが、それでもまだ2回しか使っていない。どう考えてもニトロチャージによる素早さの上昇幅の方が大きい。
さしあたってベルが今実行している作戦は『ニトロチャージでエンブオーの素早さを上げる』『エンブオーが敵に攻撃を当てる』『上昇した素早さを利用して敵の攻撃を避ける』の繰り返しだ。
さらに自分のポケモンがダイケンキというのも、イリスにとっては痛い。
ダイケンキは4足歩行で、基本は正面にしか攻撃が出来ない上に、広い目で見れば素早さが低い。さらに小回りが利かない事もあって、全てにおいて今のエンブオーより劣っている。
「随分とえげつない作戦を思いつくね、君は……!」
さらにエンブオーは攻撃力が高い。ヒット&アウェイなどと言ってはいるが、実際はアームハンマーを何発か叩き込めば戦闘不能に出来る。
「ダイケンキ、ハイドロポンプ!」
ダイケンキは自分の周囲を高速で走り回るエンブオーに、出来るだけ拡散させたハイドロポンプを発射するが、やはり当たらない。
「メガホーン!」
思い切って角を突き出してみるが、アームハンマーをぶつけられて失敗に終わる。
「エンブオー、大文字を連続発射!」
ベルがとんでもない事を言い出した。
エンブオーはダイケンキの周りを走りながら、大の字の炎を何発も放つ。勿論ダイケンキはその攻撃を避けることが出来ず、全発直撃を受ける。
「エンブオー、熱湯!」
さらにエンブオーは熱湯を発射。
「アームハンマー!」
そして追い討ちとしてアームハンマーを叩き込む。その後すぐにニトロチャージで文字通り走り回る。
「……ヤバイな」
イリスは口ではそう言うも、顔は全く焦っていなかった。むしろ余裕を持っているようにも見える。
実は、まだイリスとダイケンキには秘策があるのだ。
「決めるよエンブオー。ニトロチャージ!」
最後にエンブオーは、地震でも起こすかのように地面を踏み鳴らし、砂嵐のような砂煙を舞い上げ、灼熱の炎をその身に纏い、猪突猛進という言葉の通り、突撃する。
エンブオーは最初、まっすぐにダイケンキを狙ったが、少し接近したら急に向きを変え、最終的には後ろから攻める。
「行っけぇ!エンブオー!」
エンブオーは真後ろからダイケンキに突撃する。

「ダイケンキ、立ち上がってシェルブレード!」

なんと、ダイケンキは後ろ足だけで立ち上がり、すぐさま後ろを向いてエンブオーの突撃を止める。そして前足だった部分には、水のエネルギーを纏った刀のようなものが握られている。
「え……?何これ……?」
ベルは動揺を通り越してポカンとしている。
「ダイケンキは4足歩行のポケモンだと思われがち……というかその通りなんだけど、時として後ろ足で立ち上がり、2足歩行が出来る。そしてホタチに代わる新しい武器、前足の鎧に仕込まれている仕込み刀の『アシガタナ』。これを振るうんだよ」
イリスがそう言った瞬間、エンブオーはダイケンキのアシガタナに十文字に切り裂かれる。
「僕の勝ちだね」
そこには、地面に倒れ伏す炎の武将と、それを見下ろす水の武将がいた。



今回は、なんとダイケンキが立ち上がりました。いや、本当に2足歩行出来るらしいですよ。『ホタチ』も前足に仕込まれてる仕込刀『アシガタナ』に相当するものだそうです。もう一度似たニュアンスの事を言いますが、本当なんです。嘘だと思うなら調べてください。フレッシュぺディアとかいうのに載ってましたから。では長くなりましたが、次回予告。次回はベルとのイベントが終わり、シリンダーブリッジを通り、例の奴とのイベントに、ソウリュウシティ到着と、忙しいです。では、長い今回に比べ、次回は短くなるかもです。そんな次回もお楽しみに。