二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 173章 真相 ( No.344 )
- 日時: 2011/07/27 12:28
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://pokegai.jp/
「元々ワタクシがNに理想を追い求めさせ、伝説のポケモンを現代に蘇らせたのは『ワタクシの』プラズマ団に権威をつけるため、恐れ戦いた民衆を操るため!……まあ、その点はよくやってくれました」
「しかし」とゲーチスは続ける。
「伝説のポケモンを従えた者同士が信念を賭けて闘い、自分が本物の英雄なのか確かめたい……とのたまった挙句、ただのトレーナーに敗れるとは、愚かにも程がある!」
ゲーチスはNの元へと歩み寄り、Nを心の底から軽蔑するような眼差しで言い放つ。
「詰まるところ、ポケモンと育った歪で不完全な人間か……」
ゲーチスはただうな垂れるだけのNに言いたい事を言い終えると、今度はイリスに向かって語りかける。
「イリス。まさかあなたのようなトレーナーが伝説のポケモンに選ばれるとは、完全に計算外。誤算も誤算でしたよ。しかしワタクシ目的は、野望は何も変わらない、揺るがない!」
そしてゲーチスは、本性を現す。
「ワタクシが完全に世界を支配するため!何も知らない人間の心を操るため!ワタクシだけがポケモンを扱えばよいのです!」
「っ!?」
つまり、ゲーチスの野望はそれだった。
ポケモン解放などと銘打って人々からポケモンを奪い、自分たちはポケモンを手放さずに使い続ける。ポケモンの力は人知をも超える強大なものだ。その力を利用すれば、ポケモンを持たない人々を屈服させ、世界を手にする事などは簡単である。
「Nはプラズマ団の王であり続けてもらいます。そしてその力を利用し、ワタクシ伝説のポケモンを操る」
ゲーチスは高らかな声のトーンを一気に下げ、イリスを冷たい眼差しで見つめる。
「だが、そのために真実を知るあなた……邪魔な者は排除しましょう」
ゲーチスは悪意に満ちた表情で笑っている。
「……支配だって? プラズマ団の目的はポケモンを解放する事じゃ……」
その時、アデクを連れたチェレンと、ベル、ミキが現れた。
状況が飲み込みきれていないチェレンは疑問顔でゲーチスに問う。ゲーチスはそれに嘲笑うかのように答える。
「あれはプラズマ団を作り上げるための方便。第一ポケモンなんて便利な『物』を解き放ってどうするというのです? 確かにポケモンを操れば人間の可能性は広がる、それは認めましょう。しかしだからこそ、ワタクシだけがポケモンを使えれば良いのですよ」
「お分かりになりましたか?」とゲーチスはバカにするような口調で言う。
「貴様……!そんな下らぬ考えで!」
アデクはボロボロになりながらも、ゲーチスを怒りの形相で睨む。しかしゲーチスは全く堪えていない。
「なんとでも。あなたがたが何を言おうと何をしようと、ワタクシはそれを捻じ伏せるだけの力があります。そしてあなた方にはそれに歯向かうだけの力は残っていません」
ゲーチスの言う通り、イリス、チェレン、ベル、ミキは四天王戦、アデクはN戦でポケモンも消耗している。レシラムにしたって、ゼクロムとの闘いで力を使い尽くしてしまった。
「さて、神と呼ばれようとも所詮はポケモン。そいつが認めたところでイリス、あなたなど恐るるに足らないのですよ。NもNとて使えませんでしたが、イリス、あなたもそれと——」
ゲーチスがNとイリスを貶すように言っていると、イリスは伏せていた顔を上げる。
「黙れ」
イリスの顔は怒りで満ちていた。その気迫は見るものに畏怖の念を与えるほど、強大なものだ。
「ぐっ……」
ゲーチスはその気迫に押され、一歩後退してしまうが、すぐに気を取り直す。
「フッ、強がっても無駄ですよあなたのポケモンはNとの闘いでボロボロ。レシラムにしたってゼクロムとの闘いで——」
「黙れと言ったんだ」
ゲーチスの言葉を遮り、イリスは静かに言う。しかし静かではあるが、それは轟々と燃え盛っているような言葉だった。
「……!」
流石のゲーチスも今度は黙り込んでしまう。そしてイリスは口を開く。
「お前は、ポケモンと人間を切り離そうとし、人々からポケモンを無理矢理奪い去ろうとした。人々の人心を操り、自分にとって都合の良い。色に染めようとした。街を襲い、たくさんの人々を傷つけた。そしてなにより、私利私欲のためにNを利用した!自分のためにNの未来を奪った!そして……Nを裏切った!」
イリスは怒りと悲しみが混じったような声で叫ぶ。
「だから僕はお前を許さない……お前は、僕が倒す!」
イリスの叫びを聞き、その場にいる全員が言葉を失う。しかし、ゲーチスだけはそれに対して高笑いで返す。
「フハハハハ!何を言うかと思えば。今一度言いますが、あなたのポケモンはボロボロです。そしてワタクシの力は、ゼクロムを扱わないNを凌駕します。そんなワタクシに、あなたが勝てるわけがありません」
「そんな事、知ったことか。……ダイケンキ!」
イリスは残っているポケモン、ダイケンキを繰り出すが、その姿はボロボロで、とても闘えるような状態ではない。
しかし
「イリス!」
Nは腰に付けているルービックキューブのような箱を、放物線を描くようにダイケンキに向かって投げつける。箱はダイケンキの頭上まで来ると砕け散り、ダイケンキに神々しき光を浴びせる。すると、ダイケンキの傷は瞬く間に癒える。
「箱庭の箱か……!Nめ、最後の最後で余計な事をしおって!」
ゲーチスはNの行動を咎めるが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「……まあしかし、それでもたかがダイケンキ一匹。恐れる事はありません」
そしてゲーチスは、叫ぶ。
「誰が何をしようと、ワタクシを止めることはできない!」
イリスvsゲーチス。プラズマ団との、真の最終決戦の、始まりである。
今回はゲーチスの野望が明らかになりました。いや、何度見ても自己中心的な野望ですよね。ちなみに今回出て来た『箱庭の箱』とは、Nが腰に付けているあの箱の事です。あれには不思議な力が宿っていて、ポケモンの傷を癒す、的な効果がある設定です。では、次回は黒幕ゲーチスとの最終決戦。イリスはダイケンキ一体だけですが、バトルの行方は!?次回もお楽しみに!