二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 35章 自己暗示 ( No.76 )
- 日時: 2011/04/20 21:13
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: /LylQYeE)
- 参照: http:/ARUGRIZMU
「自己暗示、だと……?」
バイオは訝しげにデスマスを見据える。
「そう、自己暗示」
イリスは、そう答える。
「自己暗示は相手の能力変化を写し取る技。つまり、回避率と素早さが異常なまでに上げられたあんたのダストダスの能力変化をコピーさせてもらったのさ」
「な……ということは……」
「僕のデスマスは回避率と素早さが異常なまでに上がったということ。互角は条件、だ」
「ぐぬぬ。だが、小生のダストダスの回避率と素早さもかなり上昇している。別に不利になった訳でも有利になった訳でもない!」
バイオは、狂ったように叫ぶ。そんなこと、誰でも分かっているというのに。
「……デスマス、シャドーボール!」
デスマスは超高速でシャドーボールを撃ち出す。
「ダストダス、避けろ!」
ダストダスも超高速でシャドーボールを避ける。
「この勝負、当てた者勝ちにだな。デスマス、サイコキネシス!」
「ダストダス、逃げ回るのだ!」
まともに戦って勝ち目が無いと見たのか、バイオはただただ逃げ回る戦法をとった。
「逃がすか。デスマス、連続でシャドーボール!」
デスマスは次々とシャドーボールを撃ち出すが、ダストダスには当たらない。
「くそ、防御、回避と違って、ただ逃げ回られるのは厄介だな。デスマス、追うんだ!」
デスマスは攻撃をやめ、逃げ回るダストダスを追いかける。
「もっと速く、ダストダス!」
「……はあ、本当に狂ってマッドサイエンティストになるのか」
もはや精神状態が最初と逆転している。
「今だデスマス!回り込め!」
イリスはダストダスが疲れ、動きが鈍くなり始めたのを見計らって、デスマスに回り込ませた。
「しまっ……!」
「鬼火だ!」
デスマスは至近距離からの鬼火をダストダスに食らわせる。
「続けてシャドーボール!」
デスマスは鬼火をくらってうろたえているダストダスにシャドーボールをぶつけ、戦闘不能にさせた。
ウィーン
それと同時に、自動ドアも開く。
「チェレン、早く脱出しよう!ミキちゃんが危ない!」
「分かってる!」
イリスは倒れているミキを抱き抱え、部屋から出る。
「アカリさん!」
階段を上っているうちに、イリスたちはアカリと合流した。
イリスはアカリにミキが危険な状態だと伝えると
「出て来て、シキカ。アロマセラピー」
アカリはシキカ(メブキジカ)を出し、アロマセラピーをする。
「これで、ミキちゃんは助かるんですか?」
「……残念ながら、気休め程度です。早くポケモンセンターに行きましょう!」
そう言って、3人は階段を駆け上がった。
ポケモンセンターは、ポケモンの回復、トレーナーの宿舎になるだけでなく、人間の治療、つまりは普通の病院をも兼ねている。
イリスたちは大急ぎでミキをポケモンセンターに運び、治療を受けさせた。容態は医者の話によると
「ダストダスの毒は常に流れ出るものではなく、自発的に出すものだ。だから毒が体に溜まりやすく、ダストダス毒は猛毒だ。だが、効きは遅い。血清もあるから、絶対に助かる」
そう聞いて、3人、特にイリスは安堵する。
「良かったですね、助かって」
「はい。アカリさんのシキカの、アロマセラピーのお陰です」
と、こんな具合に喜んでいた。
一方旧遊園地跡。
地下7階には、バイオとイエロが居た。
「しっかし、あんたも随分と危険な真似するよな。毒ガス充満させて毒殺するって、犯罪者にでもなるつもりか?」
「……小生たちは、プラズマ団に就いてからもう既に犯罪者だよ」
「ああ、そっか。にしてもあの小娘、あたしがあんたの切り札について口を滑らしたら、すっげえスピードで階段に向かっていくもんだからよ。刀とか向けるし、超怖えよ。お陰で決着は着かず仕舞い。無効試合って奴になっちまったよ」
イエロは、は嘆息する。そして顔を上げ、バイオをあざ笑う様に言う。
「でも、あんたは負けたようだな。ご自慢の仕掛けをフル稼働させ、切り札を使っても」
「黙れ小娘。今回は不覚を取ったが、次はこうはいかぬ。次こそあの小童を叩きのめしてやるのだ」
「なんか如何にも雑魚っぽい台詞だな、それ」
「貴様はもう少し老人を敬え」
「身も心も汚れた爺さんを敬うことなんてできねーな。で、どうするよ?」
「何がだ」
「こっちの戦力はもう零に等しいぜ。ここを占領する計画は、まだ続けるのか?」
「ふん。もうこれ以上の戦いは無駄だ。ライモンシティを占領するのはやめ、城に戻るぞ」
「はいよ。でもよ、何であんたはライモンシティなんて占領しようとしたんだ?」
「理由が必要か?」
「無いなら無いでいいけど、気にはなる」
「……ライモンシティを東に抜けた所に、16番道路という場所があるのは知っているな?」
「ああ」
「その16番道路には迷いの森という森がある。その森は複雑な構造ではないのに、何故か迷いやすいのだ。何故だか分かるか?」
「全然分からん」
「ふん、少しは考えろ。……何故迷いやすいかかというと、ポケモンが幻影を見せ、人間達を惑わしているからだ」
「ふうん。で、なんていうポケモンがやっているわけ?」
「N様のポケモンの親、とだけ言っておこう」
「……なるほどねえ。あんたがここを占領しようとしたのはそのためか」
「そうだ。それじゃあ行くぞ」
「おーう」
そういい残し、プラズマ団はライモンシティからは手退き、出て行った。
ついにイリスはバイオを倒しました。最後のバイオとイエロの会話は話半分に聞いて(見て)もらって構いません。次回はホドモエ跳ね橋で何かします。では、また。