二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

( 一話 ) 帝国学園 ( 亜美視点 ) ( No.18 )
日時: 2011/06/29 18:54
名前: 憐卯 ◆Oq2hcdcEh6 (ID: qsw8GWEd)


「っは、ぁ……」

 何これ。弱い、弱すぎるよ。あの帝国だから少し期待してたのに、残念。今の状況は私の目の前で膝を付いているキーパーの源田くん。中々のイケメンさんだねえ。でもさ、君って思ったより弱かったんだね。見下すような視線で源田くんを見つめると、悔しげに睨まれた。
 鬼道くんが、えんどーくんが、驚いた様に私を見ている。崇めろ、とか言える雰囲気じゃなさそうだな。私に恐れを成したのかもう嫌だと逃げ出す目金。役立たずだな、ほんと。

「ただのシュート如きが止められないんだ?」
「黙れッ、……」

 ふふ、と楽しげな笑みを浮かべると源田くんに思いっきり睨まれたので、格好良い顔が台無しだなんておどけてみせると、更に怒りを募らせたみたいだった。あらら、墓穴掘っちゃったかな。
 ずい、と顔を近付けたら後ずさられた。酷いね、なんて笑みを浮かべて。

「疲れちゃったから、豪炎寺くんに代わるね?」

 にっこー、と笑みを浮かべてそう言えば源田くんが安堵した様子を見せた。酷い、そんなに私を嫌がらなくても。遠くの方でマネージャーさんが少し怯えた様子を見せていた。勿論、彩音ちゃんも例外では無い。嗚呼、嫌われたのかなあなんて思いつつもそういうのは気にしない人間だ。
 私がのそのそとベンチへ向かうと、えんどーくんが楽しげな声を上げた。

「亜美、すっげー強いんだな!」

 私のあんな速さに、キック力に、テクニックに。異端だと感じた人間は多いとは思うがまさか感激する人間が居るとは思いもしなかった。改めて円堂守という純粋にサッカーを愛している存在を思った。残念だけど、私は純粋にサッカーを愛してはいない。
 ベンチに戻ると、先程まで怯えていた筈のマネージャーさん達が何故かにこやかな笑顔で迎えてくれた。先程の円堂くんの言葉がきっかけで、私を純粋に強いとでも認めてくれたのだろうか。

「亜美ちゃん、凄かったね!」
「強かったですっ!」

 ——あれ、この青色の子誰。
 不思議そうに首を傾げていると、青色の子が音無春奈と名乗った。それにしても——可愛いッ! 新しいマネさんかとドキドキしてたのに違うみたいだった。新聞部……だと?
 それからは。勿論、逆襲みたいな感じで負けたけど、円堂くんが何か良い試合だのなんだの言っていた。から、別に良いかなあ、と思う。
 本人達が満足ならそれで良いんでしょ。

 私は、この試合の結果、円堂くん達の能力を報告する為にすぐさま帰路に着いた。ああ、これからが楽しみだなあ、!





( fin. )