二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 探し物とユートピア 【ポケモン】 ( No.8 )
- 日時: 2011/08/27 20:39
- 名前: 香兎 ◆kyRFGkO1TU (ID: 9UBkiEuR)
- 参照: 一章_僕と君との讃美歌
一章 act1 今日という日を大切に
ジェネシス地方。
それは四方が山と湖畔に囲まれた雄大な開拓地である。
かつて昔は神が舞い降りているという説があり、今も伝説として深く残っている。それ位そこは美しく、とても幻想的だったのだ。
まるで神の砦のようだ。
ジェネシス地方の田舎、クレアシオンタウン。
そこは初めて人々が開拓した場所で、名前も天地創生、この世の始まりという意味である。
それに少し長いので、その村の人々はクレアタウンと省略して言っている。
そこに、三人で固まって何かをしている様子があった。
その三人は、ナツメ、スバル、キサラ。全員この村の子供である。
「ナツメ、好い加減よさない……?」
一人の少年が呆れ顔でそう呟く。
「いいや! やめんぞ! 俺はやめん!」
「俺を一人称にしないでおきなさい」
池から『大切な物』を取り出そうと、懸命に踏ん張っている様子だった。
「全く、そんなに大切なんだね」
「まあアレよ、ナツメの家の家宝的なやつだと」
「初めて知ったし。それ池に落としたらやばくないか」
ばしゃ、と水が飛び散る音が聞こえると、ナツメは手の中にぎゅっと握りしめた。
3針式の懐中時計。色は光沢のかかった焦げ茶色で、今もなお針がカチカチと時を刻み続けている。
「良かった……止まってなかった! これ防水機能付いてるんだすげえ!」
「付いてる訳無いでしょ阿呆。早くあそこへ行かないと」
「そうだね、急ごう!」
ナツメを除いた二人は、早足である場所へとそそくさと行ってしまった。
「ちょっと! ひどっ!」
*
「きりーつ」
ポケモンスクール。
「礼」
そこはポケモントレーナーになりたいと願う子供たちをトレーナーとして育成する学校である。
ある者はポケモンジムの役職に着いたり、ある地方の研究員になったり。数々の子供たちをポケモンの世界へと送り出してきた学校である。
ジェネシス地方ではポケモンスクールがクレアタウンのみであり、遠方から通っている者も少なくない。
「……っ……ま、間に合った……」
「もう、ナツメギリギリだよ……全く、なんでこんなに爆睡してられるのさ!」
声を張り上げて少女を責めたてているのはクレアタウンの少年。スバルである。
「いいじゃんー…昨日うっはうはだったんだよ?」
「うっはうは……?」
「そこ!」
耳に響くような怒鳴り声が聞こえた。
「「すいませんっした!!!!!!!」」
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