二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 第百七十七話 光速蟲 ( No.387 )
- 日時: 2013/01/26 23:54
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: a5DdqbyH)
二人は同時にポケモンを繰り出す。
「頼んだ、フィニクス!」
「行くぜ、テッカニン!」
レオのポケモンはフィニクス。
対するシュウヤのポケモンは、セミのような姿をし、羽を高速で羽ばたかせて飛んでいるポケモン。
忍びポケモンのテッカニン、虫・飛行タイプ。
「初めて見るポケモンだな……まずは相手の動きを見るか。フィニクス、大文字!」
先攻はレオ。
フィニクスは大きく啼き、煌々と燃え盛る大の字型の炎を放つ。
「テッカニン、高速移動!」
対して、シュウヤの指示は高速移動。
二回戦のこともあり、高速移動には警戒を示すレオ。
しかし、警戒など全く意味がなかった。
次の瞬間、テッカニンはフィニクスの後ろにいたのだ。
「襲撃だ!」
フィニクスの背後から、テッカニンは爪を振りかざし、フィニクスを切り裂く。
「……! フィニクス、エアスラッシュ!」
襲撃は効果今一つで、大きなダメージではない。
素早くフィニクスは振り向き、羽ばたいて無数の空気の刃を飛ばす。
だが、
「高速移動!」
フィニクスが羽ばたき始めた時点で、既にテッカニンはそこにいなかった。
いつの間にか、シュウヤの元まで戻っている。
つまり、これはどういうことか。
「そのテッカニン、速すぎるだろ……!」
そう。
このテッカニン、素早さが尋常でなく高い。
「こいつの素早さは凄いぜ。トレーナーの俺でさえ、どこにいるのか分からなくなることがあるからな」
ま、高速移動のおかげでもあるがな、とシュウヤは続け、
「次だ! テッカニン、燕返し!」
「迎え撃て! フィニクス、エアスラッシュ!」
テッカニンが目にもとまらぬスピードで動き出すと同時、フィニクスも空気の刃を放つ。
普通のポケモンであれば、この量の刃を全て避けるのは不可能。
しかし、テッカニンには刃が当たらない。
残像すら残るような速さで、テッカニンは刃と刃の間のわずかな隙間を次々と潜り抜け、ことごとく刃を避ける。
全ての刃を避け終えると、一瞬でフィニクスとの距離を詰め、フィニクスを切り裂く。
「くうっ、フィニクス、大文字連発!」
フィニクスは煌々と燃え盛る炎を次々と撃ち出していくが、テッカニンは余裕で炎を全て躱し切り、
「連続切りだ!」
シュウヤの指示と共に、テッカニンは消える。
次の瞬間、フィニクスの腹に切り傷が出来る。
「!?」
レオが驚いている間にも、フィニクスの切り傷はどんどん増えていく。背、足、顔も切り裂かれていき、しかも傷は少しづつ深くなっていく。
テッカニンが音速を超えるスピードでフィニクスの周りを飛び回り、爪で切り裂いている、と分かるまで、レオには数秒が必要だった。
「フィニクス、振り払うんだ!」
フィニクスは大きく羽ばたき、強い風を起こし、何とかテッカニンを引きはがす。
テッカニンの攻撃が相当高いという訳でもなく、少し高い程度だったのが幸いだろうか。
(落ち着け。奴を見た感じ、耐久は低い。一発ぶち込めば勝てる)
「これならどうだ! フィニクス、龍星群!」
フィニクスは上空へと龍の力が込められたエネルギー弾を放つ。
エネルギー弾は空中で破裂し、無数の流星となって、テッカニンを狙って次々と降り注ぐ。
「駄目なんだよなあ。テッカニン、高速移動!」
しかし、テッカニンは羽ばたきをさらに加速させると、その姿を消す。
無数の流星が降り注ぎ、それこそ躱す隙もないはずなのだが、テッカニンに流星が当たったような気配は一切ない。
そして。
「テッカニン、燕返し!」
流星による砂煙の中からテッカニンが音速で飛び出し、フィニクスに爪の一撃を喰らわせる。
「嘘だろ……龍星群も通じないのかよ……!」
龍星群が避けられれば、これはもうフィニクスで勝ち目はない。
(どうすればいいんだ……せめて、一発当てられれば……あ)
その時、レオに一つの考えが浮かんだ。
「よし。フィニクス、一旦戻ってくれ」
ここでレオはボールを取出し、フィニクスをボールに戻す。
「さあ、頼んだぜ、ロップル!」
そしてレオが繰り出すのはロップル。
「へえ、交代して仕切り直しか。いいだろう、テッカニン、襲撃!」
「これならどうだ! ロップル、放電!」
テッカニンが一瞬で後ろに現れるが、爪が振りかざされるよりも早くロップルは周囲へと電撃を撒き散らし、テッカニンの動きを妨害する。
「おっ? テッカニン、高速移動!」
間一髪でテッカニンは高速移動し、一瞬でシュウヤの元へと退く。
「なるほど、上手く考えたな。なら、その手でこいつを倒してみろ! テッカニン、燕返し!」
「臨む所です! ロップル、放電!」
テッカニンが動くと同時、ロップルは周囲へと狙いを定めずに電撃を撒き散らしていく。
しかしテッカニンは、電撃の隙間を巧みに掻い潜り、あろうことか放電をも躱しきってしまう。
そのまま爪を振り抜き、ロップルを切り裂く。
「放電も通じないなんて……!」
ここまで来ると、レオの頭に残る作戦は残り一つ。あと一つだけ、策が残っている。
「ロップル、サイコキネシス!」
ロップルはテッカニンの周囲の念力を操作し、テッカニンの動きを操る——
「効かねえぜ。テッカニン、高速移動!」
よりも早く、テッカニンは一瞬のうちにロップルの背後まで移動し、
「襲撃だ!」
爪の一撃をロップルへと叩き込む。
ロップルは防御すべく帽子を取ったが、間に合わなかった。
「だったら乗り移る!」
ロップルは魂を肉体から切り離し、テッカニンへと憑依するが、テッカニンは音速をも超えるスピードで動き回り、憑依しようとする魂がテッカニンに追いつかない。
「燕返し!」
そしてテッカニンは置き去りになった肉体へと爪の一撃を喰らわせ、魂を肉体へと引き戻す。
「一気に畳み掛けろ! 連続切り!」
調子付いてきたテッカニンは、さらにロップルを追撃する。
テッカニンの姿が消え、その刹那、ロップルに次々と切り傷が生じていく。
しかし、レオは迷わなかった。
決めるなら、ここしかない。
「ロップル、放電だ!」
ロップルは周囲に電撃を撒き散らす。
そして、ついにテッカニンに電撃が命中した。
「おおー、やるじゃねえか。この隙を利用するとはな」
普通に放電を撃てば、テッカニンには避けられる。
だから、レオはテッカニンが長い間ロップルの周囲にとどまり続けるこの瞬間を狙っていたのだ。
基本、テッカニンは相手の攻撃を見てから回避行動に出ている。
だが、この距離で放電を放てば、攻撃を見る間もなく電撃が命中するのは火を見るより明らかだ。
そして、テッカニンは電撃をまともに浴びたようで、体が麻痺し、動きが鈍っている。
「もらった! ロップル、乗り移る!」
この隙を逃さず、ロップルは今度こそ魂をテッカニンに憑依させる。
テッカニンは苦しみにのた打ち回り、羽の羽ばたきが止まり、地面へと落ちる。
テッカニンは素早さにおいて非常に優れているが、対照的に耐久力は絶望的に低い。
地面に落ちたテッカニンは、戦闘不能となっていた。
「なるほど、いい戦い方だったぜ。上手く隙を突かれたよ。テッカニン、休んでてくれ」
シュウヤはレオを賞賛し、テッカニンをボールに戻し、次のボールを取り出す。
レオ対シュウヤ、パート5。シュウヤの新戦力、テッカニンが登場。尋常でないスピードを生かして暴れまわりますが、最終的にはレオの機転によって倒されました。テッカニンは個人的に大好きですね。あのセミそのままにも見える姿がカッコいいと思います。アニメDPのシンジのテッカニンが滅茶苦茶カッコよかったなあ……。さて、次回も続きですね。それでは、次回もお楽しみに!