二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 472章 電撃 ( No.684 )
- 日時: 2013/02/16 12:47
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「エルレイド、サイコバレットだ!」
先に動いたのはエルレイドだ。念力を凝縮して固め、無数の銃弾としてトゲキッスに向けて連射する。
「トゲキッス、かわして波動弾!」
トゲキッスは襲い掛かる銃弾を舞うようにかわし、波動弾を連射。半分ほどはエルレイドに向かっていくが、残りはバラバラの方向へと飛んで行った。
「神速!」
「マグナムパンチ!」
波動弾が着弾するより速くトゲキッスは突撃してくるが、イリスはそれを読んでいた。その思考はエルレイドにも伝わっており、エルレイドはトゲキッスが突っ込むのに合わせて拳を突き出してトゲキッスを殴り飛ばす。
しかも間の悪いことにちょうど波動弾が飛んできたところで、殴り飛ばされたトゲキッスは自身の波動弾の直撃を受けてしまう。
「トゲキッス!」
トゲキッスは急いで態勢を立て直す。今度は間が良く、別働隊として放たれた波動弾がエルレイドに向かって行くところだ。
「エルレイド、アイスブレード!」
エルレイドは襲い来る波動弾をすべて難なく切り捨てた。ここまではまだシロナの想定内だ。
「神速じゃ力不足。なら、これはどうかしら? トゲキッス、ブレイブバード!」
トゲキッスは全身に燃える炎の如きエネルギーを纏い、エルレイドに突貫。凄まじい勢いで飛行するトゲキッスは、流石に拳一つでは対応できないだろう。
しかし、イリスは待ってましたと言わんばかりに口の端を吊り上げる。そして、
「エルレイド、サイコバレット!」
エルレイドはトゲキッスをギリギリまで引きつけ、念力を固めた銃弾を至近距離で乱射した。鋭い銃弾はブレイブバードのエネルギーを、トゲキッスの体ごと貫く。
「これでとどめだ! アイスブレード!」
そしてすぐさま両肘の刃を氷結させ、トゲキッスの脇を通り過ぎ、一閃。エルレイドが刃を収めると同時に、トゲキッスも地に落ちた。
「……戻って、トゲキッス。よく頑張ったわね」
シロナは戦闘不能となったトゲキッスをボールに戻す。そして、次のボールを構えた。
「生憎、私の手持ちにはエルレイドの弱点を突けるようなタイプのポケモンはもういないのよね。だから、普通の手で行かせてもらうわね」
そう前置きし、シロナは次のポケモンを繰り出す。
「雷光より轟け、シビルドン!」
シロナの三番手は電気魚ポケモン、シビルドン。電気単タイプだが、特性浮遊で唯一の弱点を殺している。
「シビルドン、マッハボルト!」
先手を取ったシビルドンは、口から高速で電撃を吐き出した。目にも止まらぬスピードで飛来する電撃を、エルレイドはかわせず直撃を受ける。
シビルドンは耐久力は並み程度だが、様々な技を覚えるバリエーションの豊かさと、攻撃力の高さが売りのポケモン。マッハボルトと言えど、ダメージはそこそこある。
「もう一回マッハボルト!」
「影討ち!」
今度はエルレイドの方が早かった。エルレイドは影に潜り込んでマッハボルトをやり過ごし、シビルドンの背後に立つ。そして鋭い刃を振るってシビルドンを切り裂いた。
「エルレイド、アイスブレードだ!」
続けて刃を氷結させ、一閃、二閃……連続でシビルドンを切り裂いていく。が、しかし、シロナもシビルドンも黙ってやられるほど甘くはない。
「シビルドン、ウッドハンマー!」
シビルドンは勢いよく振り向き、裏拳のように樹木の力を込めた拳をエルレイドに叩き込み、吹っ飛ばす。
「追撃よ、火炎放射!」
さらに口から燃え盛る火炎を放って追撃をかける。
「くっ、エルレイド、影討ち! シビルドンの背後を取るんだ!」
エルレイドは炎に焼かれつつ、影に潜り込み、シビルドンの背後を取った。そして刃を振るって攻撃。
「ウッドハンマー!」
しかしすかさずシビルドンのウッドハンマーが繰り出される。しかし、
「同じ手は通用しませんよ! エルレイド、かわしてサイコバレット!」
エルレイドは素早く後ろに身を退いて拳を空振りさせる。そしてすぐさま念力を固め、無数の銃弾としてシビルドンへと乱射。シビルドンの体を貫いていく。
「……やるわね。でも、私のシビルドンは耐久に趣を置いてるわ。多少の連続攻撃じゃあ倒せないわよ。喰らいつく!」
「だったら倒れるまで打ち込むまでです! マグナムパンチ!」
シビルドンが円形の口を大きく開いて飛びかかるが、エルレイドは大砲の如き勢いで拳を繰り出し、シビルドンを殴り飛ばす。
「追撃だ! 影討ち!」
さらに、影に潜り込んで殴り飛ばされたシビルドンの下まで接近。刃の切っ先で打ち上げるような打突を叩き込んだ。
「シビルドン、一度エルレイドを引き剥がしましょう。火炎放射!」
「エルレイド、深追いはするな。一旦退くんだ」
シビルドンは炎を放射してエルレイドを攻撃するが、エルレイドはすぐに引き下がる。だが、エルレイドを引き剥がす目的は達成した。
「マッハボルトよ!」
そしてシビルドンは、エルレイドが離れたと見るや否や、高速で電撃を発射する。
「影討ちだ!」
けれども電撃はエルレイドには当たらず、エルレイドは影に潜り込んでシビルドンに接近。刃で切り裂いた。
「ウッドハンマーで反撃よ!」
「かわしてアイスブレード!」
シビルドンはすぐさま樹木の力を込めた拳で反撃に出るが、エルレイドも素早く身を退く。しかしエルレイドよりもシビルドンの方が少しだけ早く、最終的にはアイスブレードとウッドハンマーの鍔迫り合いとなり、エルレイドが押し負けた。
「やっぱ耐久に重点置いてるって言っても、攻撃も高いな……でも、とにかく攻める。マグナムパンチ!」
「喰らいつく!」
エルレイドは大砲のような勢いで飛び出し、力強く拳を振り抜く。対するシビルドンは、軟体動物のような動きで拳をいなし、エルレイドに喰らいついた。
「しまっ……エルレイド、引き剥がすんだ! アイスブレード!」
エルレイドは凍てつく刃で歯を喰い込ませるシビルドンを切り裂くが、シビルドンは離れようとはしない。どころか、
「シビルドン、マッハボルト連射!」
零距離からマッハボルトを連続で放ってきた。マッハボルトの威力が低かろうと、エルレイドの特防が高かろうと、流石にこの連続攻撃は堪える。
「早く引き剥がせ! マグナムパンチだ!」
今度は拳を叩き込むが、それでもシビルドンは喰らいついたまま、決して口を離そうとはしない。
「火炎放射!」
マッハボルトを撃ち終えたシビルドンは、今度は炎を放ってきた。零距離の電撃も大概だが、炎を浴びるのもかなりの痛手だ。
「まだ剥がれないのか……だったらこれどうだ! エルレイド、サイコバレット!」
エルレイドは念力の銃弾を大量に生成し、すぐそこにいるシビルドン目掛け、シビルドンの体の一点に向けて、銃弾を連射する。
銃弾はシビルドンを何度も、そして幾重にも貫き、流石のシビルドンもエルレイドを解放した。しかしエルレイドの負ったダメージは大きい。もう体力はほとんど残っていないだろう。
「そろそろ決めるわ。シビルドン、ウッドハンマー!」
シビルドンは銃弾を受けても退かず、むしろ攻撃を続行。樹木の力が宿った拳を振りかざしてエルレイドに襲い掛かる。
「迎え撃て! エルレイド、マグナムパンチ!」
エルレイドも拳を固め、大砲のような勢いで飛び出す。
そして両者の拳が互いの体にめり込み、しばし静止する。一秒、二秒……どれくらいたったのかは定かではないが、時間が経過した後、シビルドンが首を降ろした。
しかしその直後、エルレイドも片膝を着き、さらに数秒。シビルドンはなんとか体を起こすが、エルレイドはばたりと前のめりに倒れる。戦闘不能だ。
「……よくやったよ、エルレイド。戻ってくれ」
イリスはエルレイドをボールに戻す。エルレイドの敗因は、シビルドンとの耐久力の差だろう。手数ではエルレイドが圧倒的に上だが、一撃を賭けた攻撃では、シビルドンの方が一枚上手だったようだ。
「さて、あのシビルドンを倒すには、どうするか……」
少し悩み、イリスは次のボールを構えた。
「……うん。シビルドンも体力はほとんど残ってないはずだし、ここは手数で攻め続ける。出て来て、チラチーノ!」
イリスの四番手はチラチーノだ。
「行くよチラチーノ。きっちりシビルドンを倒して、後に繋ぐよ」
シロナ戦その三、ですが……なんつーか、ふっつーのバトルですね。ホミカとかシズイとかイリゼとか、今までその人物のスタイルを重視した、凝ったバトルを繰り返してた(ような気がする)ので、こういうただの殴り合いみたいなバトル描写は久々に感じます。タイプ相性もないですし。こういうのは描写しやすいんですけど、文字数があまり増えないんですよね。ただバトルしてるって感じです。……うーん、なんだか上手く言えてない気がしますけど、まあ、これはたぶん書く者だけが知る感覚でしょう。知りませんけど。ともあれシロナのはりキッスを撃破したエルレイドの相手はシビルドンですが、最後は敗北。チラチーノに繋ぎます。にしてもチラチーノは久々の登場ですね。機動力が高いのが特徴ですが、その辺はディザソルと被ったりしますし、タイプ的に弱点も突きにくい。噛ませ犬ポジションを確立しつつあるデンリュウと、どっちが不遇なんですかね? では次回はシロナ戦その四。お楽しみに。