二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【ギャグ99%】  ( No.136 )
日時: 2011/08/25 22:47
名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: H4NN94uP)


「…何で貴様がここにいる。幕府の追跡を逃れて京に身を潜めていると聞いたが?」
「祭りがあるって聞いてよォ…いてもたってもいられなくなって来ちまったよ」


町と町を繋ぐ大きな橋の上に、笠をかぶった男二人。
従来者が目をくれることはなかったが、二人はとても怪しげな空気を醸し出していた。


39)なんかギャグ要素が一つもない。


—あの男が去ったと同時に、次は見覚えのある甚平姿の女がやってきた。

「…お? …桂さん、ですよね?」
「……」
「無視ですか。ま、お金は恵んであげましょう。お給料もらいたてほかほかです」

そう言って俺の前にしゃがみ込んだ甚平娘は前に置いた小さな空缶に銭を入れてくれた。

「…かたじけない」
「あ、その声やっぱ桂さんだ」

……。
彼女はあくまでも真選組にいる人間。
ならば、何故、

「騒いだりしないのか」
「え?」
「次は捕まえる。そのようなことをお主は前に言わなかったか?」
「あー…公園の時ですか。あは、すっかり忘れてた」

そう言って笑う彼女に、裏など見えなかった。
おそらく本当に忘れていたのだろう。

「てか、実際のとこ、言うほど桂さんのこと敵だと思ってないんです。今更ですけど」
「…なに?」

敵だと思ってない…?
言われてみれば彼女から敵意などは感じないし、
今斬ろうと思えば簡単に斬れる程警戒心が丸っきりない。

「何ですかね。私、どんなに悪い人でも嫌いになれない子なんですかね!」
「…さあな」
「…あっ、そう言えば3日後に祭りがあるって知ってます?」


先程アイツが……。

「まぁ詳しいことはその日の朝の会議で……おっと、企業秘密だ!」

口を押さえ、危ねーと呟く甚平娘。

「さっきはあんなこと言いましたけど私たちの立場は変わりませんからね。言えないです」

そう言って立ち上がり、「では」と歩き出そうとした彼女を、

「…おい」

何故引き止めてしまったのかは自分でもよく分からない。

「…? 何ですか?」
「…その日の祭りは真選組の奴等と共にいた方が安全だ」
「……どういうことですか?」

首を傾げる彼女。
俺は笠を深くかぶる。

「特に人気の無いところには行かない方がいい。死にたくなければな」

彼女からの返答は無かった。
ちらりと彼女を見やると、一礼をして静かに去っていく彼女が見えた。


 …


  死にたくなければ 。


勿論敵には死んでもらった方が良いに決まっている。
無論あの甚平娘も敵だ。
だがあちらが敵意を見せないと言うのなら
少しだけこちらも油断してやろう 。






( 女物のような派手な着物を着込んだ、獣のような男 )