二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【100話突破】 ( No.429 )
日時: 2011/12/13 23:43
名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: rjNBQ1VC)


そうだ。
新八くんと一緒に船に乗り込んだんだ。
確か新八くんは甲板に走ってったよね。
うん、甲板に行こう。新八くんとか神楽ちゃんがいるかもしれない。


109)シリアスってキツい。


何とか甲板へと辿りついた、…のはいいんだけれど。
目の前に広がる光景に、私はフリーズした。

「…なんじゃこりゃ…!!」


変な動物みたいな奴めっちゃおる!!
あ、これが天人なのね!

辺りを見渡すものの、新八くんや神楽ちゃんの姿は見当たらない。
だが、周りの天人を圧倒的な強さで跳ね除ける人物が。


「…桂、さん?」

横顔を見て気付いた。
え、なにその髪型。イメチェン? イメチェンなの?

そんな桂さんの背後に、タコみたいな天人が刀を振りかざしていた。
私は咄嗟にレジ袋から土方さんの恋人を取り出す。

「オイ」
「?」

タコみたいな天人を後ろから呼び止め、そいつが振り返った途端。

「背後から斬ろうなんざ、卑怯極まりないんだよコノヤロー」

むにゅむにゅと、マヨネーズを顔にぶっかけてやる。
タコみたいな天人は視界を奪われ、他の仲間にぶつかってこけた。
マヨネーズは何にでも合うらしいからね、タコにかけても美味しいんじゃないかな。知らんけど。

桂さんがこちらに気付いた様子で、目を丸くしていた。

「何故貴様が此処に…幕府に気付かれたか」
「や、私用ですから安心して下さい」

私用…?と桂さんは更に疑問符を浮かべた。

「ならいいが…。まさか敵を手助けるとはな」
「私にとって天人も敵ですから。つか真選組隊士以外のモブキャラ全員敵みたいな」
「コラ! そんなこと言って…失礼でしょう!」
「……。ま、紅桜だか紅鮭だか知んないけど大変なんでしょ。まぁ私には関係ないが。というわけで。脱出方法を教えて下さい」
「すまんな。脱出用の船ならもう行ってしまった」

なん…だと……!!
じゃあ帰るすべがないじゃないか!

あ、でも、

「桂さんも脱出できませんよね?」
「いや、今からするとこ」


…え?

桂さんが、「銀時!」と一声叫ぶと、天人の中から銀さんの姿が。
…銀さんもいたんだ。
何でそんなに血だらけなのかはあえて聞かないでおこう。


二人が船の端まで走るのを見て、私も追いかけた。
何をするのかと思いきや。
ひゅん、と飛び降りる。

「ぬええええええええ!!?」

慌てて私も飛び降り、銀さんの着流しを掴む。
…そして桂さんの広げたパラシュートで地上へ降りる、はずだったらしいが。


「ぬおッ」
「逃がさんぞ!」

甚平のズボンを、天人に掴まれた。

「何やってんだよ甚平女ァ! ふざけんなよ!」
「イカンイカン! 脱げるってオイ! セクハラか、セクハラですか!」

そう叫ぶなり、私はレジ袋ごとジャンプを投げ付けた。
見事天人の額に角がヒット。甚平のズボンを掴む手が離れた。

パラシュートで浮く桂さんの足に銀さんがしがみつき、
そんな銀さんの足に私がしがみついた。
やべェ、手汗半端ないんですけど。めっちゃ怖い!!


「ていうか銀さん、変な臭いするんですけど」
「ばっか、銀さんが命懸けた証拠だよ」
「や、血とかじゃなくて、ほら…ブーツから漂ってくる…」
「靴!? 靴の臭い!?」


そんな他愛もない会話の中で小耳に挟んだ、桂さんの呟き。


「始まりは皆同じだった。…なのに、随分と遠く離れてしまったものだな」



——それは何処か切ない響きを持っていた。





 ***



あれから無事地上へ降り、新八くんや神楽ちゃんと合流できた。
…そして、桂さんを慕う浪士さんたちが涙ぐんでいる間に、
真選組の私をこっそりと逃がしてくれた桂さんにに感謝しよう。


屯所の門周りまで着いた途端、後ろから誰かに呼び止められる。


「…土方さん、沖田さん」

おそらく巡察が終わって帰ってきたんだろう。
お疲れ様です。いや私の方がお疲れなんだけど。

そして二人の顔を見て、ふと思い出した。

「あ、待たせちゃってすみません! マヨネーズとジャンプ買ってきま……て、あれ?」

持っていたはずのレジ袋がない。
………。


あ、そうだ。



天人撃退するのに使っちゃったんだ。




(すみません、マヨネーズは王国に帰っちゃいました)
(ま…マヨネーズ王国にか!? オイ、追いかけたのか!? 入り口は見つけたのか!?)
(いえ…すばしっこくて…)
(てめェ何してんだよ!!)
(鈴、ジャンプは)
(…えーと、トイレットペーパーに生まれ変わりました)