二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【原作沿い】 ( No.523 )
日時: 2012/01/29 22:25
名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: rjNBQ1VC)




「恋人の、楠木鈴さんです」
「は?」


沖田さんに呼びつけられて、ファミレスまで駆けつけたのはいいものの。
何で銀さんまでいるんだろう。
そして、

何で恋人として紹介されてるんだろう。


129)熊に出会ったら死んだふり


「ちっがいますよ、恋人だとか絶対…いだァァァ!!」

否定した瞬間、
ぎゅうう、と沖田さんに思い切り右足を踏まれた。

横目に沖田さんを睨むと、もっと鋭い目で睨み返された。
そして、前方のミツバさんに聞こえないように耳打ちしてくる。

「何も聞くな。とにかく俺の恋人を演じろィ」
「いや、んなこと言われても…どんな」
「姉上に劣らねェくらい可憐に振舞え。少しでも姉上の気に障るような下品な真似したら斬る」

可憐!?
なんだよそれ、ちょっと辞書で意味調べなきゃ分かんないなぁ!

でも沖田さんはマジだ。
ザキさん片付けようとしたときよりマジだ。
ちょっとでも言葉遣い汚くしたら本当に斬られるぞこれは。


「…こんにちは。ご紹介に預かりました、楠木鈴です」
「貴方は、門前で会った方ね? まぁ…この方だったの」

ふわりと微笑むミツバさん。
こんなお人に劣らんくらい可憐に振舞え…? 無理だろ。

「ごめんなさいね。そーちゃんたら迷惑かけちゃってるでしょう?」
「とっ、とんでもない!」

今この時に迷惑かけられてるけどね!

「沖田さんは本当に素敵な方です。常に笑顔で心優しいし、
 それに責任感も持ち合わせてるので上司からの信頼は勿論、部下からも大層慕われていますよ」
「まぁ、そうなの。さすがそーちゃんね」
「そ、そんなことないっス。鈴、言いすぎでさァ」

沖田さんはほのかに頬を染め、見たことのないようなやんわりとした笑みを見せた。

な に こ れ ホ ン ト 誰 ! ?


言いすぎでさァ。とか可愛く口尖らせながら言われても!
私だって言いすぎと思ったってか完全嘘だけど!
常に黒く微笑んでいてパシられますけど!



「ふふ。鈴さんはしっかりしてそうだし、安心してそーちゃんを任せられそうだわ。
 …あ、そうそう鈴さん」
「はい?」


スッと目の前に差し出された、一つの食べ物。
形としてはショートケーキであってると思うんだけど。
…この真っ赤な色はどういうこと?
ちょっとばかしピリピリした辛い匂いがするんですけど、これは?



「辛いものは、お好きですか?」

「……か、辛いものですか」


ちら、と横目で沖田さんを見る。
「食え。」沖田さんの目は、ただその一言だけを投げつけてきた。

逆隣の銀さんを見ると、
「覚悟しといた方がいい」
とただ涙目で呟いた。
ということは銀さんも何らかの赤い物体を食べさせられたのか。



……。
ショートケーキを多い尽くした、赤い液体。
タバスコか…?
私キムチ鍋までしか無理なんだけど辛いのって。


「…やー、今ちょっと口内炎出来てて…こういうの食べちゃうと凄い痛むといいますか…」
「ゴホッ…! 食べて、くれないのね、ゴホッ、そーちゃんの恋人なのに…ゲフッ!」

…えええええええ!?
つか恋人関係ねェェェェェェ


「ゲフゲフッ、ゴホッ、カハッ!!」

戸惑っている内に、どんどん酷くなっていくミツバさんの咳。
なにこれどうなってんのもう!

「鈴、はやく食べてくれなきゃ姉上が…! 姉上は肺の病気を患ってるんだ!」
「え、そうなんですか! 分かりましたっ…て食えるかァァ!!」

無理無理無理!!
こんなの食べたら、私の肺が真っ赤になって死んじまう!!


「そ…ちゃん……いいのよ、もう…。私はこうなる運命なんだから…」
「あっ、姉上ェェ! 姉上ェェェェ!!」


止めてくれ、周りのお客さんの視線が痛い…!


「姉上ッ…」
「楽しかった……あり…が……」
「いっやぁ辛いのって私大好物なんです!! キムチ鍋にはタバスコ3本くらい使い切るのが常識ですよねェェ!!」


——パクッ





 「ンがああああああああッッ!!」