二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- れんしゅー、 ( No.54 )
- 日時: 2011/09/11 13:37
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: /HyWNmZ0)
- 参照: サッカーの様子って難しい。
ピィ————ッ!
試合開始のホイッスルと同時に、少年は駆けだした。光の先へ向かう為に、足元のボールをキープしながら風のように、只管前へ走る、走る。
歓声、掛け声、指令——様々な音が混ざり合い、絶妙なハーモニーを生み出す。それが心地よくて、少年は無意識にその口元を緩ませた。
「うらぁっ!」
掛け声と共に、少年の足元へ別の足が向かう。ボールへ触れるか触れないか、擦れ擦れの場所に足が来た刹那——少年は飛んだ。ふわりと、髪が揺れる。
次いで、何らかの人物の名前を呼んだかと思えばそのまま少年は空中でキープしていたボールを蹴りだした。所謂、パスである。
白を元に、黒の六角形が描かれるサッカーボールは真っ直ぐに少女の元へと向かい、それを難なくトラップし少女は駆けだす。少年から託された一つの夢を持って、ボールを蹴りながら走る、走る。目指す先には真っ白のゴールネット。
「いっけー!」
少女の元気な声と共に、ボールがゴールネットへと真っ直ぐに、素早く飛んでいく。横っ飛びに飛んだゴールキーパーの少年を嘲笑うように、ボールはその指先を掠めた。
ピィ——ッ、ゴールのホイッスルと共にゴールネットは揺れ、ボールが落ちる。座り込んだキーパーの少年に手を差し出して、少女はにこりと元気のいい笑みを浮かべた。
「今度は私のシュート、止めて見せてね!」
「————勿論さ」
ふふっ、と楽しげな笑みを浮かべた少女に対し、少年は冷静な態度を崩さずに、でも何処か楽しげな笑みを浮かべる。
次いで、少女は綺麗な髪を揺らしながら自身の位置へ戻っていく。背番号は10番、エースナンバーと言われるものだ。真新しいユニフォームを見る限りは、彼女は新入りなのかもしれない。
それであのシュート、か。少年は少し嬉しくなって、目の下を染めて笑った。彼女へパスを回した少年と少女がハイタッチをしているのを見て、キーパーの少年はますます笑った。
「、今度は止めてみせるよ」
こうしてまた、少年や少女は成長するのだった。これが、全ての始まり。このゴールが後に少女の、キーパーの少年の運命を変えるものになっていくとはまだ二人は知らない。
*
世界編のネタバレになりそう、だ、