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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- [ 香奈と亜美 ] ( No.58 )
- 日時: 2011/09/22 19:30
- 名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: KCnf7FEj)
いつだってきみは、わたしのうえをいく。
いつだってきみは、わたしをこえていく。
だからわたしは、きみをただみまもるの。
*
「——大きくなったわね、亜美」
腕の中で眠る妹に、柔らかく笑みを浮かべた。私が居ない間に、こんなにも成長しているとは思いもしなかったから。
サラリと彼女の髪を梳いて私は自嘲気味に笑った。まだ、9歳の小さな小さな妹と、大切な幼馴染を置いて逝ってしまった私を嘲った。私は本当は生きていて、ずっと眠っていると言ったら彼女はどんな顔をするだろう。もうすぐ死ぬと言ったら彼女はどんな顔をするだろう。悲しげに笑うのか、苦しそうに笑うのか。
もぞ、と小さく身動きする亜美の唇から言葉が零れる。おねえちゃん、と微かに聞こえたその言葉に私の涙腺が緩む。きっとこの子はまだ、私の帰りを待っている。この子はまだ、受け入れてない。私が居ないことを。私はこの子を愛しすぎた。この子は私を慕い過ぎた。恋慕よりも更に執着に似たその感情に、私は再び自嘲を零した。
「—————ごめんなさい」
誰へと呟いた言葉か、既に忘れてしまっている。ゆっくりと弧を描く口許が、歪んだ。今はただ、腕の中で眠る少女を只管愛したいのだ。この温もりを手放したくないのだ。少女を、愛して居たいのだ。嗚呼、私の死を受け入れていないのはきっと、
(歪んだ愛情)
*
私なんだ、と。
香奈ちゃんはシスコンですか? はい、そうです。
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