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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *イナイレ*【トリップ】失いすぎた少女 第2章更新中!! ( No.362 )
- 日時: 2012/10/07 17:23
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
番外編 Ⅶ「記憶」朱音ver.
空っぽだった。
家具がないとかじゃなくて。
隣で寝ていたはずの両親がいないのだ。
布団すらもない。
もともと家計が厳しく前まであった家具などの多くは売られていたのだ。
今では布団ぐらいだろう。
「おかぁ…さん?」
まだ半分寝ぼけていた事をよく覚えてる。
「おとぉ…さん?」
左右を見ても人はいなかった。
段々不安になり少し頭によぎった考えを振り払う。
【捨てられた】
そんなわけがない。
確かに最近お金がなくて我儘をつい言ってしまう自分は邪魔なのではないかと思っていたがそれでも両親は優しく頭を撫でてくれた。
タッタッタッ——…
急いで玄関へと足を進め靴の数を数える。
部屋を確認するよりこっちの方がきっと確実だろうと思ったのだ。
「あ…ある。」
ホッと胸を撫で下ろし顔が自然と綻んだ。
きっとトイレとかお風呂にでも入っているのだろう。
久しぶりに自分で朝ごはんを作ろうかな。
今度はゆっくり。
リビングへと戻る。
中に入ると少し変なにおいがする。
もしかして…火をつけたままおかぁさんはトイレにでも行ったのかな?
急いでキッチンを除くと火どころか電気すらついていない。
「………?」
じゃあこの変なにおいはなんなのだろう。
ぐるりとキッチンを見回してふと体をとめる。
食器棚の前で何かを見たのだ。
それは肌色で見覚えがある。
キッチンを出てガラスに映っていたであろう方角を見た。
「……みぃつけた。」
天井の梁にくくり付けられたロープの先端には輪っかが作られておりその中には両親が首を入れて目を閉じている。
「おかぁさん、おとぉさん。何してるの?」
返事はない。
「……仲間はずr…グスッ…に、しないでよぉ…」
もう、答えてくれることはなかった。
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