二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 飛んで、跳ねて、真っ直ぐに 【銀魂】 ( No.10 )
日時: 2011/09/22 20:42
名前: リリ ◆EPemxtc4xk (ID: fgAsB2wa)

「—志真ねーちゃん!あーそーぼっ!」


とある古い長屋の前。

そこには10歳にも満たない子供が何十人も集まっていて、その小さな手でトントンと扉を叩いていた。

そこは人など住んでいないように見えるが、子供達は躊躇なく扉を叩き続ける。

「おっし、今日は川にでも行って泳ぐか!」

するとガラリと戸が開き、女にしては少し低い声を発しながらボロボロの服を着た少女が出てきた。

少女の姿を見た子供達は、ワイワイとそのまわりに集まり、おねーちゃん早く川行こ! 僕、水切りもしたい!などと盛んに少女に話しかけ始める。

「おーおー。今日も元気だなお前ら!じゃ、行くか!」

そして少女は子供達の手を取ると、まだ昇りきっていない太陽に照らされながらゆっくりと歩き出した。



【銀魂】飛んで、跳ねて、真っ直ぐに。



第壱訓【子供は遊ぶのが仕事】

「あんまり遠く行くなよー!」
川ではしゃぎまわる子供達に、少女—山田志真は河原で寝転がりながら声をかけ、時計をちらりと見る。

するともう着いてから2時間半も経っていた。

—お、もう昼か。あいつらご飯持ってきてないだろうし、おにぎりでも買いに行くか。

そんなことを思いながら、志麻はよっこらせと立ち上がると子供達に待ってろよー!と声をかけ、いつも行っているコンビニへ向かった。

向かう途中、ちらちらとこちらを見る視線が少し気になったが、いつものことなのでかまわず歩き続けた。





クーラーのきいた店内へ足を踏み入れ、人数分の昼ご飯をカゴにいれる。

なんだか調子の悪い目をこすりながら、そのままレジにカゴをいつも通りに置き、おじさん、今日は客来た?と、いつもの調子でレジのおじさんに話しかけた。

「今日はおじょーさんしか来てないアルよ。」

だが、今日はいつものしゃがれた声ではなく、かわいらしい声が聞こえてきた。
目をこするのをやめ、前を向くと、自分より少し小さいくらいの少女が立っていた。

「あれ、おじさんは?」
「何か風邪ひいたって言ってたアル。だから私が今日はレジのおじさんネ。」
思わず少女に尋ねると、ピッ、ピッと会計をしながら答えた。

「へー、そっか。じゃあさ、これ後でおじさんに渡しておいてくれると助かるんだけど。」
志真は大したリアクションもせず、袂から小さな小包を出すと、少女に渡した。

「何アルか?これ。」
「んーとね、お守り。」
「お守り?」
「そ。何か破れたって言うから、縫っといてあげたの。形見とか言ってたな、そーいや。」
袋に入った昼ご飯を受け取りながら、言葉を紡ぐ。

そして少女がわかったネ、まかせるヨロシ、と胸を叩くのを見届け、じゃあよろしくと店を出た。

—面白い子だったな。名前聞いときゃよかった。
そんなことを思いつつ、腹をすかしているであろう子供達の元へ急いだ。





「おねーちゃんおなかすいたー!!」
河原に降りるや否や、子供達が集まってきた。
志真はご飯を渡してやると、自分もおにぎりにかぶりつき、腹を満たした。

「よーし、今日はここまでな!!また暇できたら遊んでやるから!」

そして立ち上がると、ご飯を食べている子供達がうん! またね志真ねーちゃん!と、こちらに手を振った。
志真も小さく手を振り返しながら、長屋へと戻った。