二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.341 )
- 日時: 2013/02/10 22:28
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=5zJOYB-3E3M
69話「空に舞う雪のごとし」
--- 絶対に、倒す。やり方は俺の自由だ、俺が楽しんでるの…お前は笑ってくれるよな? ---
--- 『ルイは楽しそうに笑うね。その笑顔、私…好きだな』 ---
「勝負は簡単だ。5分。5分たった時にボールを持っていた方が勝ち」
ルイは言う
「分かったわ。アンタ…負けたら知ってる事全部言ってもらうから」
そらがルイを睨みつけながら言う
「それじゃ、開始(スタート)」
ゲームは始まった
己の使命を懸けた
自分の運命を懸けた
心を懸けた
大切な人を懸けた
負けられない戦い
その光景を絵空事の様に眺めるつらら
--- 私はどうして、此処にいるの?
私は、何をすればいいの?
私は、どうしたいの? ---
「サッカー初心者だと思ってたのにっ!」
そらが焦りの表情を見せる
「そらさん!こっち」
吹雪が叫ぶ
そらは声を頼りに吹雪にパスをする
そら達が優勢に見えるがルイの身体能力は桁外れに強かった
ボールを奪われれば奪い返す事は難しい
「お前等、俺はそんなに弱かねぇんだよ?ボールくらい、すぐに奪ってやるっ!!!」
ルイは叫ぶ
--- アレ?なんだろう。この、感じ…
懐かしい様な…不思議な
何?暖かい何かが、ある
私は…何を忘れていたの?
忘れていたの?私は…
何を-------------?
嗚呼、そっか… ---
雪は静かに舞う
風は微かに吹く
緋色の髪が風を切る
「そこだぁぁぁっ!」
ルイはボールを奪いにかかる
「っ!」
吹雪はギリギリでボールを上へと蹴り上げる
---が、ルイはすぐに飛ぶ体制を作る
「俺の、勝ちだ」
ルイが笑う
吹雪の顔が歪む
「嗚呼、そうか。私は忘れてたんだ。ずっと大切なモノを失っていたんだ」
優しく、暖かい声がコトバを紡ぐ
風が静かに吹く
淡い翠色が空を舞う
「なっ?!」
ルイの顔が大きく歪む
吹雪は目を見開き驚く
そらは微かに頬をほころばせる
空を舞い、ボールを先に手にしたのは----------------------------------------“つらら”だった
「どうして…」
ルイが問う
「思い出したから」
氷の様に透き通った声は言う
「私は、ココで生きる…そう、決めてたから」
「嘘…だろ。俺が…負けた?」
ルイは崩れ落ちそう呟く
「俺は…負けられねぇのに…“アイツ”のためにも勝たないといけなかったのに」
「ごめん、ごめんな…俺、俺。ごめん------------------------------------------“ユノ”」
崩れ、謝り続ける
誰もルイに近づこうとしない
「ルイにも…ルイなりの、思いがあった…」
ただ1人を除いて
近づいてくる存在に気づき、ルイが顔を上げる
「お前…」
ルイは震える声で言う
「なんだよっ!俺の負けだっ!!憂さ晴らしでもなんでもすりゃいいだろっ!」
ルイは喚く
つららはソレを静かに見る
「大丈夫、ですか」
「え--------?」
つららが言ったのは憐れみでも呪詛でもない
純粋な言葉だった
『…あ、あの。大丈夫ですか?』
ルイの脳裏にそっと近づいて聞いてきた幼い少女の声が響く
「まさか…お前が、あの時の…」
--- 俺にもう1度生きる事を思い出させてくれた…娘? ---
「あ…はは。俺は知らないうちに…全てを自分の手で壊していたのか」
呟く様に言う
「ああ。大丈夫だ…何が知りたい?俺の知ってる事が…全部話してやる」
ルイが小さな声で言う
--- ユノ。ごめんな…俺にはこれ以上、此奴らを傷つける事はできない ---
微かにつららは笑う
その笑顔が、昔ずっと一緒にいてくれた少女の儚い笑顔と重なった様に見えた
「…ルイ。話されると、困る…」
そんな声が響いた
銀色の髪が舞う
「氷裏…」
ルイは急に倒れる
氷裏はルイの元まで行くと
「………」
何も言わずに消えてしまった
ルイを連れて
その光景を見ていた少年に気付く者はいなかった
*
「あれ?この子誰?」
朱色の髪の幼い少女は呟く
目の前にいるのは
どんな色にも染まりそうな儚げな菫色の髪の少女
「ミユー、知ってる?」
朱色の少女は栗色の少女に尋ねえる
「いいえ」
「本当に誰なの?この子。目覚めそうにない…し」
朱色の少女の声が静かに響いた
「どうなるの?私たちは…どうすればいいの」