二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.420 )
日時: 2012/05/09 19:56
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 87話「仕掛け扉」

セントラルの端
町から遠く離れた森の中に古びた大きな屋敷


「ここで、私は生まれた」
リオンは小さな声で言う
「ここで…大きなお屋敷。だけど、もう誰も使ってないみたいね」
そらが屋敷を見ながら言う
「大きいの?セントラル城よりも小さいよ?」
ティアラが笑顔で聞いてくる
「世間ではこれは大きいになるの」

リオンは玄関へと行く
ドアノブに手をかける
「っ!」
リオンは手をかけたまま小さく震える

「(大丈夫、誰もいない。誰も…いないの。だから、家に入っても何も…怖くないの…!)」

リオンは静かに玄関の扉を開ける

「何年も放置されてたのね。埃が」
そらが言うと
「はい。おそらく…5年ほど放置されていたかと」

「ん〜本が沢山だねぇ!」
ティアラが本棚を見て言う
「はい。私の生まれる前からあったそうです」
リオンが答えたと同時に声が響く
「リオン。貴女の部屋だった場所って此処?」
そらが部屋を指して言う
「…はい」

子供部屋だった
古びてしまったカーテン
埃のかぶった机や本

「ん?写真…」
そらは机の上に置いてある写真を見る
「リオンの家族…リオンはここで育ったんだ」





『お話して。光と闇のお話して』
『ホントその話好きだね』
『して』
『わかったよ。だけど、部屋の片づけが終わってからね』
少年は優しく笑う
少女は明るく笑う




「リオンーなんか思い出した?」
ティアラが聞く
「…ごめんなさい」
リオンが下を向きながら言う
「あ!いいんだよ気にしなくて!!リオンのペースでいいんだから!」
ティアラが大きな声で言う
「ありがとうございます」



「風が吹いてる?」

「あれ…これは」
そらは奥の部屋の本棚の前にいた
「本の並びが不自然な気がする」
本棚の中はすべて本で埋まっている
すべての本がシリーズがジャンルごとに並んでいる中で1冊不自然な本があった
「童話…?“せかいのはじまり”」
そらはその童話“せかいのはじまり”に手を伸ばす
「…これって、まさか文書?」
気になり本を倒す


「え…」


本棚が動き本棚の向こう側に道が現れる
「…地下室」
そらは覗き込む様に見る


「ティアラ!リオン!!ちょっと!」
そらは2人を呼ぶ

「なぁにぃー」
「どうかしましたか?」
ティアラ、リオンは来るなら目を見開く
「これは…っ?」
「地下室?!」

「すべての部屋は見た。地下はまだ…。行ってみようと思うの。2人はどうする?」
そらが問うと
「行きます」
リオンが言う
「私は、地下の事を知りませんでした。でも、ここは私の家だった場所です」
「私も行く!私もっ!!」







『君は光だから。どんなに暗い闇も照らすことのできる…光なんだよ』
少年は言う
『ひかり?よくわかんないよ』
少女は言う
『そっか。ちょっと難しかったかな?』
少年は笑う


『優しすぎる光。だけど、その優しさで自分を傷つけないか…僕はそれが心配だよ』


--- 遠い記憶の中で貴方は言った

  私は…今でも、光なのでしょうか? ---