二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ONEPIECE -海姫-  建て直し!! ( No.37 )
日時: 2012/03/11 15:51
名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)

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がつん、と鈍器で殴られた様な衝動に駆られる。

そうだよ。私達は逃げてきた。


「……でも、私達に何が出来たの?」
「セナ、姉?」
「私達が何かしたら、何か変わるの!?」
「…………!」
「現実は甘くない!ちっぽけな、…政府にとってはただの人間に、何が出来るのよ?」


私は、
私は。


「私はただ3人に死んで欲しく無いだけなのに!」


リルの顔が歪む。嗚呼、そんな顔をさせたくて言ったのじゃないのに。
ごめんね。きっと、私が間違っているのだろうけど。でも3人はとても大事な人だから。


「……セナ姉、」
「…っごめん!!」


すぐに立って、大部屋へと走る。数分でつくはずのその部屋が、とても遠く感じられた。


「うわああああああああ!」


3人が居たら、何も要らないの。

ただただ、叫び狂う。


可笑しいな頬に水がつたっているの。

きっと雨が降っている。
きっと、…きっと。


視界が滲んで、眠気が襲った。


「ごめん……」


次に目が覚める時は、笑って3人の顔を見れるだろうか。







***






「———!!」
「————!」


騒がしい。何時もは静かなはずなのに、と目をこじ開ける。
何度も降りて来る瞼に、少し腹を立てる。


「……ん」


目を開ける。徐々に視界も確かになってゆく。
でも目を覚まさなければよかったと、すぐ後悔した。


「あああッ!」


思わず叫び声をあげる。目の前に見たのは血だまりの中に倒れている人だ。

おずおずと、手に指をあてるけど、脈はない。


死んでる。


辺りを見回すと、赤い業火と、戦う奴隷と司令官の姿がある。茫然とその戦いを見る。
—そういえば、3人は!?


「お姉ちゃん!大丈夫!?」


顔をあげると、セラの姿。涙がこみ上げて来る。


「私は、大丈夫…」
「そっか!よかった。」
「それにしても、何?如何したの?」
「……お姉ちゃん、静かに聞いてね。…リルが起こした戦争だよ。戦争って言うほど立派なものではないけど…つまり、反乱。」

「はん、らん……」
「…ついに、始まるんだよ。革命が」

「…っ何で!」


リルが、反乱を。何故?何故に反乱を起こしたのだろうか。
私達では、勝てないというのに。


「リルっ…、」


気まぐれな、灰色の猫の名を呼ぶ。
返事は勿論帰ってこない。まだ力の入らない足を無理矢理に動かせてゆっくりと立ち上がる。


「お姉ちゃん、何処いくつもりだよっ…!」
「リルのところよ!リルを止めなきゃいけない・・!」


セラを睨みつけて、走ろうとする。しかしそうはいかない。
セラが私の手をつかんでいるからだ。


「離してよっ、私はリルのところに行かなきゃならないのっ!!」
「目を覚ませよ!お姉ちゃん!」
「目なんかとっくに覚ましてるわよ!速く行かなきゃならないの、離して!」

「お姉ちゃんが行って何が出来るんだよ!」
「できるわ!」
「……!?」
「私はリルを止める。リルやミルが……セラが、死ぬのは嫌だから!」


セラの瞳を見つめる。哀しみの青を帯びるその瞳は私を呑みこみそうになるくらい真剣で。


「……できないよ。」
「え……?」
「もう、戦争ははじまったんだ。…いくらお姉ちゃんでも、止められないんだよ…。」
「そんなこと……っ」
「あるんだよ、お姉ちゃん。おれだって、止めたいよ!嫌だよ!皆一緒なんだ。皆戦争なんかしたくない…」


「だけど!始まってしまったんだよ!」


セラの言葉に、へた、と崩れ落ちる。
戦争は、始まった。人が次々と死んで行くのを、茫然と見つめる。
人は、なんて脆くて弱いのだろう。なんて、愚かなのだろう。


「おれは、戦うよ。逃げてもやめても、勝ちはこないよ。お姉ちゃんは、如何する?」


セラは、近くに在った銅剣を私に差し出す。私はその剣を暫く見つめると、手を剣に添えた。


「………私も、戦うわ。」
「…そうこなくっちゃ!」


笑うセナの手に、手をあわせて。




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