二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ONEPIECE -海姫- 建て直し!! ( No.40 )
- 日時: 2012/03/11 16:00
- 名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)
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白い部屋を出ると、セラが私を待っていた。
血だらけの床に裸足で足をつく。
「……行こう、セラ」
「お姉ちゃん、渡したいものがあるんだ」
「・・・・?なに?」
セラは私に蒼い刀を差し出す。
蒼い昇り龍が描かれているそれには、ただならぬ力があることが読み取れる。
「——〝水龍〟。昔、貰ったんだ。黒いマントを被っている男の人に、戦う時が来たら、お姉ちゃんに渡せって…。」
「…綺麗、だね」
「うん。とっても綺麗。ね、お姉ちゃん受け取って」
「……うん、ありがとう。」
水龍。海を感じさせる。私の髪と同じ色をした刀を、すうっとぬく。
綺麗な、直刃。
滑らかで、それでいて切れ味もよさそう。
「行こう!」
「……うん」
私は、知らなかった。
黒いマントの男の正体を。考えていれば、分かったはずなのに。
セラは、走りながら考えていた。
(そういえば、お姉ちゃんに1つ言うの忘れてた。…まあ、いいか…)
——〝我が名は、ジン。この世界の権力者〟……
***
蒼色の刀が、空を切り、緋の中を舞う。ぼろぼろになる身体も気にせずにただ一審に刀を振るう。
——私は、緋の中に居た。周りに屍が増えていく。心は痛むが、私は此処で立ち止まるわけにはいかなかった。
「やめてくれっ!おれには、せがれが……」
顔を青ざめて私に謝罪する奴もいた。子供がいる、と言う人もいた。
私にだって、故郷があった。帰る場所が、在った。
——蒼ノ国、が。
なのに、なのに。蒼ノ国を滅ぼしたのは、沈めたのは。
「……貴方達じゃないの。」
ザシュッと音がした。緋色が私を囲んだ。目を、静かに瞑る。
「…………運命は、残酷ね。」
また走り始める。ミルは情報収集に、セラは別の場所で出口を探している。
気づけば、もう周りには敵が居なかった。
「……ね、きみ」
「…………!?」
急に、声をかけられる。低くて、まるで鐘の様な重い声。
ばっと振り向くとそこには、黒いフードを被った少年が居た。
「誰、」
「まあ、そんなことはいいでしょう?きみさ、強いんだね。けれど……もっと強くはなりたくない?」
「…え?」
「灰色の猫を失くしてしまったから、せめて自分と瓜二つの少年を、亜麻色の猫を助けたい。そうでしょ?」
「な、んでそれを……」
そう聞いた瞬間、男の唇はにいっと弧を描く。ぞくっと寒気が走る。
「ふふ。ぼくは、知っているよ。世界のすべてを」
「!?」
「この実を、食べて御覧。皆を救えるような力が手に入る。ほら、きみの目を同じ色でしょう」
蒼い、ぐるぐる模様の入った林檎のような実を渡される。
強くなれる。守ることが出来る。恐る恐る手をつけると、ひやりとした。
ちゃぷちゃぷと音を立てる不思議な林檎を手にとる。
「食べてごらん?力が欲しいんでしょう」
フードの中で、紅い目が私をギラギラと見つめている。
時々見える濃藍の髪の毛。私の蒼より、暗くて沈んだ色。
藍色をさらに濃くした、濃藍(のうあい)。
「……ほんとう?これを食べれば、強くなれる?」
「うん。なれるさ絶対に。……信じるか信じないかはきみ次第だよ」
少年は私の頬に口付けをしてから、何処かへ消えた。
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