二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師パラレル現代版★短編集 ( No.101 )
日時: 2012/05/26 08:41
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: uyKWZpxa)

「 …眠いなあ、寝たいなあ、寝ようかなあ」
 昌浩の部屋で丸まっている物の怪は、欠伸をしながらそんなことを呟いていた。
「こんなに眠いのは、毎晩行く夜警のせい」
 ジロリと横にいる昌浩を見る。彼は今、学校の勉強をしている。
 物の怪の視線に気がつくと、それまで一心不乱に動かしていた右手を止め、物の怪を半眼で見た。
「 …あのねぇ、俺に何か文句でもある?」
「あるよ。たっくさん」
 物の怪が、嫌みったらしく言う。
「何だよ」
 少々苛立ちながらも、それを抑えて、努めて冷静に訊く。
「だからー、昌浩がもっとしっかりしてたらー、夜警なんかちゃっちゃっと終わらせちゃってー、夜中は寝る時間がたっぷりできるはずなのにー。昌浩が頼りないからー」
「うるさいな、もっくん」
 昌浩の声が刺々しくなる。
「何だよ、本当のことじゃんよ」
「そーだね」
 その時、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「はい?」
 昌浩が返事をすると、扉が開き、彼の祖父である、晴明が立っていた。
「お祖父様、何か用ですか?」
 ムッとしながら昌浩が訊くと、晴明は笑って答えた。
「 …いや、わしが用があるのは紅蓮の方じゃ」
「俺?」
「ちょいと、おいで」
 ひょいひょいと晴明が手招きするので、物の怪はそれに従って晴明のもとへ歩く。
「わしの部屋で話そうか」
 そう言うと、老人と物の怪は、去っていってしまった。
 一人残された昌浩は呟いた。
「何の用だろう?」
 最も、自分には関係ないが。
 その場で伸びをした昌浩は、勉強をする気も失せてしまった。勾陣に今夜の夜警の護衛を頼もうと思い、勾陣を探しに部屋を出た。
「どこかな?」
 ぶらぶらと安倍家を歩いていた昌浩は、天一と朱雀の姿を見つけ、話しかけた。
「ねぇ、天一」
「何ですか? 昌浩様」
「勾陣、見なかった?」
 すると、天一と朱雀は首を傾げた。
「ごめんなさい、見てないわ」
「そっか… 」
 十二神将というものは謎だ。普段、どこで何をしているんだろう。
「 …じゃ、見かけたら言っといてくれる? 俺が探してた、って」
「ええ、勿論」
 にっこりと天一が微笑むのを見て、昌浩はさっさとその場をあとにした。
 何故なら、朱雀が、天一と話す昌浩を殺気を感じる視線で睨んでいたのだから。