二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ヒロと黒影の亡霊 ☆番外編2☆ ( No.481 )
日時: 2013/03/26 10:47
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: CzRhDmzb)

第16章の続き

(ストーリーモード:バン)

しばらくして、誰かが俺の肩を揺らしながら起こす声が聞こえた。

「…ジュ、ミジュミジュ!(…ン、バンってば!)」
「うっ、うーん…?」

徐々に意識が戻ってきて、少しずつ目を開ける。ボンヤリとした視界にミジュマルの姿が映った。
どうやら、仰向けに倒れたまま気を失っていたらしい…眠そうに目を開け、顔を上げたのと同時に映った光景を見て驚く。

「…あれ、ここは…どこだ?」

周りを見回すと、いくつかの結晶がある…しかも青く光っていて、綺麗さを感じさせてしまう。
ふと、頭につけていたはずのヘッドホンがないことに気付き、見回しながら探す。
ミジュマルが持っていたので、落ちそうになったところをキャッチして取ったのだと想像できた。

「ミジュマル、サンキューな」
「ミジュ!(うん!)」

ミジュマルから受け取ったのと同時にヘッドホンを耳にセットする。

「…もしかして、ハルが言ってた例の結晶?」

結晶は青く光っていることから、結晶のトンネルとも言える場所になっていた。
特別な場所なのか、あるいは何らかの理由で昔から存在していたのではないか。

『そうみたいだね。ハルが言ってたのは、このトンネルのことだったんだな』

ミジュマルが周りを見回しながら、俺を見て頷く。やっぱり、このトンネルは洞窟になっている。
その時、後ろから何か滑ってくる音が聞こえた。すぐに振り返ると、滑り台の出口みたいな穴があった。

「もしかして、俺たちは…この滑り台を通って、そこを出たってことか?」
『そうだよ。僕、最初はどこに繋がってるのか分からなかったもん』
「ミジュマル、お前もそう思うよな…」

ミジュマルと話し込んでいた矢先、目の前にハルたちがやってきた。
どうやら、俺たちの後を追いかけてきてくれたみたいだ。ハルと直紀は俺たちの無事を確かめたのと同時に周りを見渡す。

「やっぱり、初めて来た時と変わってないね」
「もしかして、お前…この洞窟に来たことがあるのか?」
「ええ、楓たちと一緒に探検した時にね…このトンネルは別名【青結晶の洞窟】と呼ばれているわ」

このトンネルは別名【青結晶の洞窟】と呼ばれていて、昔からずっと存在していた場所である。
周りを見回せば、確かに青く光っていて綺麗なところだと感じる。その時、直紀が結晶に触りながら、首を傾げた。

「…あれ?」
「どうした、直紀?」
「何か冷たく感じる…」

直紀は壁に触りながら、感触を確認していた。彼を見て、思わず首を傾げた。
言われたとおりに結晶の壁を触る。確かに直紀の言うとおり、冷たい感触が手に伝わってきた。
イメージで言うなら、氷のようなものが入っているということになるのか。それとも、氷でできているのか。

「本当だ…確かに冷たいね、ちょっと気になってきたぞ」
「やっぱり、バンもそう思うよね。だって、この洞窟は昔から存在していたみたいだし」
「ハル…お前が気にしてたのは、この結晶の壁だけじゃないんだろ?」
「そうよ…私が気にしていたのは、それだけじゃない。バンと直紀に見てもらいたいのは、この奥にあるところなの」

ハルが指差した先には、奥に続いている通路があった。そこを通れば、奥に隠されている何かを見つけ出すことができる。
その洞窟の奥には、何かが隠されている…ミジュマルたちもちょっとした好奇心を起こした。

『ねぇ、ハル…その先に何かが隠されているのは、間違いないの?』

ミジュマルがハルに向かって、質問しながら聞く。ハルは苦笑しながら、肩を竦めて答える。

「ええ、そこに行ったら…ミジュマルたちもきっと驚くよ。それまでの楽しみに♪」

笑いながら、右目をウインクするハルの様子を見ていた。俺と直紀は顔を見合わせながら、首を傾げる。
ハルは俺たちに見せたいものがあると言っていた…その事に関するものが隠されているのではないか。
そう考えれば、納得できるはず…でも、ハルが見せたいのはそれじゃないかと思っていた。

「どうしたの、バン?」
「いや…ちょっと気になることがあるんだ。それより、例の場所に案内してくれ」
「うん、分かった。とりあえず、私の後をついてきて。ポカブたちも一緒に来て」

ハルに案内され、延々と続く洞窟の通路を歩いていく。少し経つと、何かが見えてきた。
どうやら、この辺りが奥のようだ…ふと、直紀が何かに気付いて、思わず指差した。

「…おい、あれって…」

直紀の視線を追って、そこに転がっているものを見た。それは2体のガイコツだった。
ミジュマルたちは目を丸くして、ガイコツがいたことに動揺を隠せない。

『ガガガ、ガイコツ----------------------!?』

ミジュマルがオーバーリアクションを見せて、ビクッと怯える。ツタージャとポカブもその恐怖を味わっていた。
目の前に倒れていたのは、2体のガイコツ…そこで何かが起きたことを示唆しているという証拠。
その様子を見る限り、男女の遺体ではないかと思われる。その事を含めて考えると、実の両親ではないか。

「ミジュマル、みんなも落ち着いて」
『えっ…だって、これはガイコツだよ!?』
「うん、確かにそうだけど…多分、あの2体の遺体は恐らく----------」
『恐らく…?』
「2人の両親じゃないか?」

よく分からないが、2人の両親であることは間違いない。それに関しては、俺も信じがたい。
よく考えれば、納得できなくはない…しかも、事件があったとは思えないのだ。
遺体はちゃんと服を着ていたことから考えると、ここで事件が起きた可能性が出ている。

「えっ…バンもそう思ったの?」
「ハル、お前もそう思う?」
「うん…だって、この2人の遺体はどう見ても成人に見えるよ」
「確かにな…成人なのは分かったけど、この2体のどちらも見分けがつかないほど判別できなくなっている」

2体の遺体を見ると、損傷が激しいということが伺えた。頭部の遺体を見る限り、何か割れた後がついていた。
つまり、何者かによって殴られた可能性がある…その事も含めて捜査しなければならない。

「もしかして、穴が開いてる…ということは、何者かに襲われたのか?」
「確かに間違いないね。僕もそう思う…この事件は、誰かが仕組んだ可能性もあるんじゃないかな」

誰かが仕組んだ…その可能性も否めなくはないが、その事件を起こした犯人の正体が掴めないままでは真実に辿りつく事ができない。

「確かにそれも有り得るな…この事件はますます深まりそうだ」
「でも、手掛かりを掴めないようじゃ解けないはずだよね…」
「いや、その手掛かりならある…」

その手掛かりはハルが持っていた財布と運転免許証の2つだ。その2つの証拠さえあれば、何とかなるかもしれない。
ハルはその手掛かりを思い出したのか、バッグを開けて取り出す。古ぼけた財布と運転免許証を受け取り、確認する。

「これがハルの言ってた手掛かりか…」
「ええ、その2つが重要なキーワードになるはずだと思ってた」
「重要なキーワードって?」

その台詞を聞いた直紀が目を丸くして驚きながら、首を傾げる。
ハルは運転免許証に記されている名前を指差しながら確認して考え込んだ。

「運転免許証を見れば分かると思うけど…『Logan Right』『Loza Right』って書いてあるよね?」

よく見ると、確かに2人の名前が書かれている。男は『Logan Right』、女は『Loza Right』と名乗っていた。

「…ん?」

待てよ、『L』『R』のイニシャル…この夫婦は2つの名前に共通点がある。
もしかして、最初の文字が大文字…その間の『L』と『R』の2つがしっかり組み合わさっているということか。
よく考えれば、その2つを組み合わせていくことで文字に共通点が合っている。でも、何か引っかかってしまうのが気になった。