二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜2章7話更新&500越え ( No.61 )
日時: 2012/08/19 06:54
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: z52uP7fi)

八話   「なつかしいひと登場」



試合まっただなか。
……やばいだろ、これ。
だって、太助たちめちゃくちゃビビってるじゃん。なかなか動けない太助たち分をカバーしようと、天馬たちもいつも以上に動き回ってるし。

(どうなるか……。)
「お兄、この試合だけどさ。」
「わかってる。協力してくれてる太助たちには悪いけど、この試合、かなり厳しい。」
「だよねー。だって、太助くんたち、すっごくおそるおそる動いて……いや、動こうともしてないし。気迫負けしてるって感じ。」
「だn……。」

俺は観客席を見て、こうちょくした。そして、つぎには。

「悪い、急用が出来た。十分は少なくとももどらない。以上。」
「ぇ。」

友撫の返事も待たず、俺はベンチをぬけだし、観客席に直進。いちおうこの時代のかっこう。でも、いきなり直行で観客席をつっきっていく俺は、ずいぶんへんな存在みたい。
そんな目線を背中であびながらも観客席のまんなかあたりまでくると、あるひとりの着物のえりをガッチリつかみ、観客席から連れ出した。
林のかげまでいき、そいつをぽいっとはなす。そして、その人物は……。

「いててー……。なにすんだよ、月流っ。」
「なにすんだよ、じゃねえよ! ったく、なにやってんだよ、相崎。情報収集おこたって高みの見物かい!」

自称、天才情報収集係の相崎。なんどいっても、サボりはやめてくれない。つーか、「天才情報収集係」って、「天災情報収集係」のまちがいだろ。天災が訪れたことはないけど。

「サボんなよ、ったく。」
「うるせえなあ。おれをやとったのはおまえだろ。」
「失礼な。おまえが勝手に買って出たんだよ。」
「チッ、おぼえてんのかよ。」

相崎、きさまのことをイヤイヤやとったこと、忘れるわけなかろう。どんだけ「イヤ」っていっても、「やるやる」ってさわいでたしな。
サボることは目に見えてたから。

「つーか、いったいなんなんだよ、おまえ。この世界にきたのって……まさかとは思うけど、遊びに来ただけ、とか……?」

思わず俺は、相崎をあわれみの目で見てしまう。相崎はあわててとりつくろい、

「いいいい、いやいやいや。そういうことじゃぬく……あ。」
「かむなよな、そんなところで。」

滑舌(かつぜつ)悪ッ。

「とにかく! べつにそういうつもりできたんじゃなくて、こっちの情報収集。」
「は?」
「友撫ちゃんにたのまれたんだ。」
「……あー。うん、その先はいわなくていいよ((ニコッ」
「いやいやいや、目が笑ってないって。」

あたりまえだろ。どこまで好きなんだよ、森蘭丸。異常だろ。

「あのひとだろ。」
「おお、ようわかるな。」

友撫のことだからな。ハハハ……。

「あとさ、この時代とはすっとんだ話するけどさ。」
「ん?」
「みーちゃんのほう、どうだった?」

相崎のひとみは、一瞬で死んだ。……だめだったのか。

「まあ、みーちゃんは疑り深いからなあ。説得も難関だろ。」
「ほんとに……。いつになったら信じるのやら。」
「おつかれさんです。……でも、けっこうきてるんじゃねえの?」
「ああ、まあな。けっこうしつこく話はしたし、あとはコーチが信じるかどうかだ。」
「やあ、ほんとに……。」

みーちゃんったら、せわがやけるなあ。って、べつに俺はなんもしてないけど←