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　——————それは、夏に起こった悲劇。
　ああ、知らないのなら、知らなくて良いの。
　

　何故、それが“あの人”達に起こったかは、誰も知らない。
　けれど、
　“あの日”は、“あの人”達の価値観を変える出来事だった。


　————そんな、夏の日のお話をしようか————……。




　　　　　*



「あ……っつぅ……」


　本当、この暑さは異常だ。
　温暖化が進んでるにしても、ここまで暑くならなくてもいいだろう……。


「いやー、今は温暖化じゃなく、寒冷化が進むらしいですよ？」
「………………だ、誰ですか？」

　
　というか、心の中で言ったつもりだったのに。
　私に声を掛けてきたその人は、十四くらいの身長、暑くはないのか、と思う団長さんと同じように長袖の灰色のパーカーを着ている。

　フードを被っているせいで、よく顔は見えないが、声からして女の子だろう。
　

　そんな事を考えていると、
「あっ、すいません。いきなり声をかけちゃってｗ　僕は、椋鳥夜月(ムクトリ　ヤヅキ)です。……如月、桃さんですね？」
「……え……」


　どうしてバレたんだろう。
　どうしよう。
　また、あの日みたいな騒動が起きたら、団長さんやマリーちゃん達に迷惑を……。


「あ、大丈夫です。ファンとかそういう類の者じゃありません」
「じゃ、じゃあ何なんですか……？」