二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 綯交ぜ草子 ( No.1 )
- 日時: 2012/09/16 16:35
- 名前: しあち。 (ID: OS.29i1w)
【誰も居ない図書室の一角で】 《学生シリウス夢》
「シリウス、重い」
「あぁ〜? 良いじゃねぇかよ」
周りに生徒が誰も居ない図書室の一角で一人で本を読んでいると、急に背中が重くなった。
振り返ると、そこにはシリウスが後ろから抱きついていた。
「良くないよっ。第一ここ図書室だよ? 皆に見られるって……」
「そんなもん見せつけてやればいいんだよ」
シリウスは耳元で囁き、その低い掠れ気味の声が全身に響き渡る。
私はシリウスの声に弱い。それを知っているのか、わざと耳元で囁いたのだろう。
そして離れるどころか強く抱き締めた。
「し、シリウスっ!」
「しっ、大声出したら皆にバレるだろ」
「だって……って、さっき見せつけてやればいいって言ってたじゃん、あっ……」
うっかり口を滑らしてしまったその言葉を、シリウスが聞き逃すこともなく。
シリウスは、シリウスのファンの子が見たら卒倒してしまうくらいの、意地悪そうな笑みを浮かべた。
「ふーん、じゃあ見せつけても良いって事だな?」
「そっそんな訳ないじゃん!」
「まぁ良いけどよ。……なんて言うとでも思ったか」
「わっ!」
解放してくれると思ったその時、シリウスは器用に私を自分の腕の中に閉じ込めた。
私はシリウスの胸をトントンと叩く。
「しっ、シリウスっちょっと!」
「うるせぇよ。マジで皆にバレるぞ」
離す気配もなく、シリウスはさらに強く抱き締める。
私は諦めて抵抗することを止めた。シリウスは無言になり、私を暫く抱き締めていた。
—— ってか 今日はやけにくっ付いてくるよね。どうしたんだろう?
「どうしたの」と訊こうとした時、シリウスが口を開いた。
「……お前さぁ、本ばっか読んでんじゃねえよ」
「へ?」
突然そんな事を言ったので、私は間抜けな声を出してしまった。
—— 本?
そういえば今日は課題を終わらせる為にずっと図書室に籠りっぱなしだったなぁ。……あっ。
「シリウスもしかして、私が本ばかり読んでいたから今日一日寂しかった……とか?」
「なっ! ち、違ぇよ!」
否定するシリウス。けど顔が真っ赤で、説得力が微塵も無い。
「図星でしょー。顔真っ赤ですよ? シリウス君」
もしかして形勢逆転? と思っていたのも束の間。真っ赤になった顔が
さっきの顔よりももっと意地悪な笑みになった。
「お前、自分の立場解ってんだろな? 今ここは俺達しか居ねえって事をよぉ」
「えっ ど、どういう意味っ……わあっ!?」
「これはお仕置きが必要だな……」
お仕置きと言う名の、甘い甘いひと時を過ごしましたとさ。
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