二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 3つの微超越 ( No.20 )
- 日時: 2012/11/10 21:06
- 名前: キリキリマイ (ID: 8cTIMUus)
第十二箱
「本当にならないことを祈ってるぜ」
「——あ?」
目を覚ますと、窓の外はすっかり夜だった。
目覚まし時計に視線を移すと、針は午後の8時半を指している。
夢の内容的に、凄いリアルだったのを覚えている。
「……」
敵とはいえ、女3人を無残な肉塊に変えて——頭蓋骨を粉砕する
夢とは脳が記憶の整理をしている途中に見える映像と聞いたことがある。
つまり、あれが俺の本心。
「……俺にはどうすればいいのか、分かんねぇや」
「俺は、例えマイナスから一歩前進しているからって」
「プラスの奴等から見れば、マイナスと大差ないのかもな」
「でも、マイナスの奴等から見れば俺はプラスと大差ないのかもな」
「……安心院さんは、俺にあいつ等をどうしろっていうんだ?」
ピーンポーン。
インターホンが鳴った。
こんな時間に訪れる客というと、俺は二人くらいしか心当たりがない。
一人は言うまでも無く見据宍架。そしてもう一人は
ガチャッ
「どちら様——」
グサァァァッッ
杜若の腹部を鋭利な刃物が貫通した。杜若は血反吐を吐き、膝をつく。
そんな杜若を嘲笑いながら、一人の女子が杜若を見下ろしていた。
「敵一人の不意打ちも避けれないなんて、ダメダメですよねぇ!」
杜若は彼女の顔に見覚えがあった。
「お前……確か同じクラスの……埠頭蛇尾……?」
「は?……あぁ、そういえば転校生だっけ?アンタ」
「ってか、影薄いから分からないっつーの」
杜若の脳裏にある人物の言葉がリピートされる。
——影が薄いから分からなかったよ!
「……お前も、アイツと同じこと言うんだな」
「はぁ?何言ってん——え?」
杜若の腹部の傷はすっかり癒えていた。そして次の瞬間、蛇尾の体中から血が噴出した。
「いっ……たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「そりゃ痛いだろうな……!」
「あ、アンタ何した!?あぁぁぁ!痛い痛い痛いぃぃぃっ!!」
痛みに苦しむ蛇尾に、杜若は冷徹な一撃を食らわせた。
ドカァァッ!という音は、蛇尾の骨が砕けた事を物語っている。
「……お前の体を”人生で一番深い傷を負った状態”まで戻した」
「お前、よほど深い傷を負ったんだな——水面密から」
「!!」
蛇尾は、ビクッと体を震わせた。小刻みに震えている蛇尾に、杜若は構わず話を続ける。
「お前は水面密の取り巻きとして生きていく前に
蛇籠飽の過剰な行動から反対行動を起こしていたグループの一人だったんだろ?」
「やめろ」
「けれど、お前は水面密に徹底的な”恐怖”を植えつけられ……そして賛成派になった」
「違う」
「お前は決して蛇籠飽の再任を望んでいるわけではない」
「お願いだから……やめて」
「お前はその恐怖に縛られているだけの」
「ただの操り人形』
マイナスの笑みを浮かべた杜若は、恐怖と痛みで放心状態の彼女の頭に
フルパワーで足を下ろした。
「……違う」
残り3ミリほどで、杜若の足は止まった。
蛇尾はすでに泡を吐いて気絶している。
「……お前を」
「水面密に会う前の最初の状態に戻した」
「……これで満足ですか」
杜若が振り向くと、そこには安心院さんの姿があった。
「僕としては、君がマイナスに染まるのも見てみたかったけどね」
「あ、でもそうなるとプラスワンじゃなくなっちゃうな」
「……安心院さん、俺は何なんですか?」
「マイナスでもプラスでもない、俺は何なんですか?」
「君はプラスワンだよ、そしてぼくでもある」
「忘れないでほしいね、君は一人じゃないんだから」
「……そんな漫画みたいなこと言うの、安心院さんだけですよ」
「ま、いいや。あの夢が本当にならないことを祈ってるぜ」
「ちょっ……」
安心院さんの姿が消えた。