二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 遊戯王〜L&D〜
- 日時: 2010/05/30 23:29
- 名前: 闇沢 雄 (ID: nc3CTxta)
ども、闇沢 雄と申します。前にもこの掲示板に書いた事があるんですが、今回は名前もジャンルも改めて、別の小説を投稿してみようと考えて戻って参りました。
タイトル見てお分かりの通り、ジャンルは遊戯王です。OCGに詳しい方でないとちょい分かりにくい部分もあるとは思いますが、なるだけ分かりやすくなるように書いていくつもりなんで、どうぞよろしくお願いしますm(__)m
ではでは、早速概要と登場人物の紹介をば
舞台はとある町の須賀口高校というごく普通の私立高校。
善良な学生が大半だが、所々になじめない連中が集まり、いわゆる不良として徒党を組んでいる場合もある。
決闘は若者ならやっていない者は居ないレベルで普及しており、学校では規制しても意味はないと諦めている。
休み時間等に決闘が起こっても教師は黙認している。
黒川 雄一(くろかわ ゆういち)
主人公。須加口高校二年生
授業には一応出席してはいるが、聞いているのか聞いていないのか分からない。しかし、たまに当てられ
るとしっかり答える。放課後はいつも学校の屋上でのんびりとしている。
容姿端麗で整った顔立ちではあるが、近寄り難い雰囲気を醸し出しているため友人らしき人はいない。
白井 慶介(しらい けいすけ)
雄一と同じクラスの少年。俗にいういじめられっ子で、不良に絡まれることもしばしば。
運動は苦手だが、成績はそれなりに優秀。だが、自分に自信を持てない一面がある。
決闘も一応やってはいるが、あまり勝った試しがない。
目は伏し目がちで、学校以外でも地味な格好をしている場合が多い。
赤菜 正美 (あかな まさみ)
上に同じく、雄一と同じクラスの女子生徒。正義感が非常に強いのと同時に、思い込みが激しい。
成績は全体的に優秀で、学級委員も務めている。
加えて顔立ちも美しく、スタイルも良い。まさに才色兼備。
決闘の腕前もかなりのもので、男子との決闘でも負けたことがないとか。
橙輝 朱雀 (とうき すざく)
学園生徒会長。高校3年生。
己が決闘者としての腕前が高過ぎるが故に、常に強者との戦いを望んでいる。
左右に分けた赤茶髪とメガネが特徴。
決闘においては「無敵」とさえ呼ばれるほどの腕前の持ち主…らしい。
決闘システム
従来の遊戯王シリーズと同じように決闘盤によるスタンディング・デュエルが主流。
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- Re: 遊戯王〜L&D〜 ( No.1 )
- 日時: 2010/05/30 23:57
- 名前: 闇沢 雄 (ID: nc3CTxta)
第一章「屋上の不可思議な男」
世の中というのは、不条理だ。ただ平和に過ごしたいだけの人間に限って、災厄が降り注ぐようになってい
る気がする。もっとも、先進国である日本に居る以上、贅沢な願いだと言われればそれまでの話なのだが…
「だからてめえ!カードよこせっつってんだろ!てめえからぶつかって来たんだからよー」
「そ、そんな…ぶつかって来たのはそっちで…」
「何だとコラァ!」
相も変わらずである。須加口高校二年生、白井 慶介は、不良3人に囲まれていた。
「あーあ、また絡まれてるよ、白井君…」
「ホント、絡まれやすいよね〜。ま、あんな弱気な人じゃ仕方ないんだろうけど」
周りから聞こえる声を聞く限り、慶介は自分の味方はいないことを察した。
絶望的だった。この高校二年間でどれだけカードを奪われたことやら。小学生の時から集めていたおかげで、
なんとか自分で組んだデッキのカードは渡さずに済んでいたものの、それももう限界に来ていた。
もはや慶介に見逃しの代償として渡せるカードは残っていなかった。
「なんだよてめえ。デッキあるんじゃねーか。それよこせよ」
「こ…これは駄目です!僕が組み上げた大事なデッキなんです!渡せません!」
「偉そーな事言うじゃねーか。一度も勝ったことないくせによ」
「う……」
万事休すと思われたが、何とか横から助け舟が入った。
「おい、お前たち!何をしている!」
「ちっ…先公か…。おいてめえ!放課後屋上に来い!来なかったらもっと酷い目に遭わせてやる!」
「ひっ…はい…」
不良達はその場を去った。慶介はその場にへなへなと崩れ落ちた。
「情けない。どうしてああも簡単に屈しちゃうのかしら?」
「教育が悪かったんじゃない?親の顔が見てみたいわね」
口々に勝手なことを言いながら通り過ぎる人々。抗議したくても言葉は出ない。抗議するだけの勇気は自
分にはないと、分かっているつもりだった。
放課後
屋上の扉をそろそろと開ける。不良達は既に待ち構えていた。
「へっ、来やがったな。おいてめえ!さっさとカード渡さねえと二度と見れねえ顔にしてやるぞ!」
一瞬、手がデッキに動いた。渡そうかどうか迷った…が…
「…嫌です…。この…このデッキだけは…!」
「へっ、じゃあいい。力ずくで取ってやるよ!」
そう言って不良が慶介の横っ面にパンチをかまそうとしたその時…
「……お前達、人の安らぎの場で…何をやってる?」
ひどく冷たい声だった。慶介も不良達も思わず身震いする程だった。
振り返るとそこには、一人の少年が立っていた。少し長めの紺色の髪に、闇を連想させる漆黒の瞳。美少年
と言って良いレベルの容姿だが、目つきが鋭く、何とも近寄り難い雰囲気を醸し出していた。
「てめえ…誰だよ?」
「俺は黒川 雄一。お前達、ここは俺の場所だ。静かにするならここに居ても構わんが、騒がしくするな
ら余所でやれ。俺は騒がしいのは好かない」
黒川雄一。確かに自分のクラスにそんな人がいた気がする。話をした事は全くないのだが。
「ああ?てめえ、口のきき方がなってねえようだな…」
不良が凄みを利かせて雄一に詰め寄るが、雄一は至って涼しい顔で不良を睨み返した。
「自分のことだろう?そんな不良っぽい口のきき方で、強くなったつもりか?」
「な、なんだと…?」
「弱い奴ほど、自分を強く見せようとする。本当は毒なんてないのに、体色を工夫して毒があるように見
せかける虫と同じようにな…」
不良達はブルブルと震えていた。それが怒りから来る物であるのは容易に想像できる。こめかみに血管が浮
き、拳をギュッと握りしめているのでは尚更だ。
「てめえ…俺が弱いってのか!?ああ!?」
「違うのか?ならば決闘をしようじゃないか。自分が本当に弱くないというのであれば、実力で証明してみろ」
「くっ…望むところだ!俺が勝ったら、お前は二度と学校に来れないようにしてやる!」
そう言って不良の一人が決闘盤を構えた。
「フ…良かろう。ならば俺が勝った暁には、それ相応の罰を覚悟してもらうぞ」
雄一も同じように決闘盤を腕に嵌め、構える。
「「決闘!!」」
- Re: 遊戯王〜L&D〜 ( No.2 )
- 日時: 2010/05/31 21:25
- 名前: 闇沢 雄 (ID: nc3CTxta)
第二章 「黒の計略」
黒川雄一 LP8000 不良LP8000
決闘盤に付属された先攻を示すターンランプは、雄一の決闘盤に点灯した。
「俺のターン、ドロー」
慶介は不良と少し距離を置いて、成り行きを見守っていた。この人は、自分を助けようとしてくれている
のだろうか。それともただ単に、自分だけの時間を邪魔されたのが嫌だっただけなのだろうか。
さっきまでの発言から推測するに、後者の方が正しいように思えるが。
「グレイブ・スクワーマーを召喚。カードを一枚セットし、ターン終了」
雄一の場に、包帯でグルグル巻きの小型悪魔が現れる。ATK0 DEF0
「はあ?攻撃力0のモンスターを攻撃表示?舐めてやがんのか!?」
「そう思うなら攻撃してくると良い。お前にそんな勇気があればの話だがな」
慶介は段々恐ろしくなってきた。今雄一と対峙している不良はもとより、他の二人もかなり殺気だって来
ている。もしこれで雄一が負けようものなら、自分も巻き添えで殺されかねない。かと言って逃げ道も無いが。
「ふざけやがって…俺のターン!ドロー!」
「そんなムカつく奴やっちまえ!」
「グループの中でも上位のお前ならすぐに終わるさ!」
他の不良二人が囃し立てる。
「言われなくてもやってやらあ!怒れる類人猿(バーサーク・ゴリラ)を召喚!」
怒り狂う巨大な類人猿が姿を現す。
(怒れる類人猿!LV4にしてATK2000の強力アタッカー!)
慶介君、解説どうも。
「行けえ!怒れる類人猿で攻撃!バーサーク・エイプ・ナックル!」
怒れる類人猿の攻撃が決まり、グレイブ・スクワーマーは破壊される…が…
黒川雄一 LP8000→6000
「はぁ……つまらん…まさかこんなにあっけなく終わろうとはな…」
如何にもつまらなさそうにため息をつく雄一。
「な…なんだよてめえ!負け惜しみ言ってんじゃねえ!」
「フン、勇猛と無謀の区別もつかん馬鹿めが。罠発動!デモン・バルサムシード!」
「何!?」
「このカードは戦闘ダメージを受けた時、ダメージ500につき一体のデモンバルサムトークンを特殊召
換できる。俺が受けたダメージは2000。よって4体のトークンが特殊召喚される!さらにグレイブ・ス
クワーマーの効果。戦闘によって破壊された時、場のカード一枚を選択して破壊する。怒れる類人猿を破壊!」
雄一の場に四体の植物の種のようなトークンが現れ、さらに墓地から現れた悪魔の怨霊により、怒れる類人
猿は墓地に引きずり込まれた。
「ちっ!カードを一枚伏せてターンエンド!(ケケケ…大方その雑魚をリリースして上級モンスターを呼
つもりだろうが…この伏せカードは炸裂装甲!強力モンスターを出した所で、こいつで破壊してやるぜ…)」
「俺のターン。手札から速攻魔法、『灼熱地獄』を発動する」
灼熱地獄 速攻魔法
発動ターンのみ、自分の効果モンスターによる相手に与える効果ダメージは倍になる。
そのターンのエンドフェイズ時、自分は3000ポイントのダメージを受ける。
「けっ、そんな魔法が何の役に立つって言うんだ?」
「すぐに分かる…さらに手札から、プリーステス・オームを召喚!」
黒装束をまとった魔術師が雄一の場に姿を現す。ATK1700 DEF1600
「へっ、またそんな雑魚モンスターを…」
「特殊効果発動!自分の場の闇属性モンスターをリリースすることで、800ポイントのダメージを与える!」
「な…何!?確かさっきのカード効果で…」
「そう、ダメージは倍になる!デモンバルサムトークンをリリース!ダークネス・ソウル・カノン!」
魔術師がトークンを媒体に闇の波動を作り出し、そのまま不良に向けて放つ。
「ぐはあっ…ゲホッ、ゲホッ…くそ…効いたぜ…」 LP8000→6400
「まだだぞ?デモンバルサムトークン、二体目をリリース!」
二体目のトークンが波動へと変化し、再び不良に向けて放たれる。
「ぐふっ!…お、おい…ちょっと待て…一体につき1600ダメージってことは…」LP6400→4800
「ほう?馬鹿でも計算はできるようだな?デモンバルサムトークン、三体目をリリース!」
三度闇の波動が、魔術師の掌から放たれた。
「や、やめろ…やめてくれえええ!!!」LP4800→3200
「断る。デモンバルサムトークン、4体目をリリース!」
「ひっ…ぐわああああ!!!!」LP3200→1600
慶介は雄一の気迫に圧倒され、声も出ないまま見守っている。
雄一は冷ややかな目で不良を見据える。そして、最後の宣告が下される…。
「ラストだ…。プリーステス・オーム自身をリリース!」
魔術師は自分自身の魂を媒体とし、不良向けて突撃した。
「ぎゃあああああああ!!!!」LP1600→0
(す…すごい…たった…たった四枚のカードで…)
「こ…この野郎!」
「もういい!こんなやつ拳でのしちまえ!」
いきり立つ不良達を雄一は残酷ともいえる冷やかさで見つめていた。
「所詮は自分より弱い相手にしか力を振るえない雑魚…お前たちに決闘者を名乗る資格はない…」
不良達はある異常に気がついた。雄一からとてつもなく危険な雰囲気が漂っている。そして何故か、さっき
までとは瞳の色が違っているように感じた…。
「お…お前何者…」
「さあ、お仕置きの時間だ……堕ちよ!底なしの闇に!」
雄一がそう宣言するのと同時に、不良達の足もとにぽっかりと黒い穴が空いた。
「う…うわあああああああああああ!!!!」
- Re: 遊戯王〜L&D〜 ( No.3 )
- 日時: 2010/08/04 22:39
- 名前: 闇沢 雄 (ID: nc3CTxta)
「これ…何がどうなったの…?」
慶介の目の前には、気絶した不良が三人。どの顔も相当怯えた顔でうなされている。
「悪夢を見てもらってるだけさ。一種の催眠術のようなものかな。じきに目を覚ます」
「そ、そう…」
分かったような、分からないような。どちらにせよ、この人に助けてもらったことは事実だった。
「あ、あの…その…ありがとう…。助かりました…」
「……お前、同じクラスの白井慶介だな?」
「え?分かるの…?」
「名前くらいはな。いつも不良に絡まれてカードを盗られていると有名なお前となっては尚更だ。」
「う…」
自分の情けなさに肩を落とす慶介。
「お前もお前だ。何故あんな奴らに屈する必要がある?」
「でも…だって僕…喧嘩も決闘も…弱いし…」
「ほう…。お前、デッキを見せてみろ」
「…え?」
「安心しろ。盗ったりはしない。見てみるだけだ」
「あ、ああ……うん、いいよ…」
この時慶介は気付けなかった。この行為が、新たな厄介事を生むきっかけとなることを。
デッキを手渡すと、雄一はカードを見ながらゆっくりと屋上を歩き回った。
一枚一枚、じっくり品定めでもするかのように見ていく。慶介はしばらく待っていたが、五分ほど経って
も雄一が何も言わないので、恐る恐る話しかけてみた。
「えっと…その…」
「駄目だな」
雄一はそう言うと、慶介の手にポンとデッキを渡し、手すりに寄りかかった。
「う…そりゃあ、これで一度も勝ったことないし、構成もダメダメなのは分かってるけど…」
「そんなことを言ってるんじゃない。駄目だと言ったのはお前自身のほうだ」
「え…?それってどういう…?」
「デッキ構成自体は悪くない。発想の良いコンボもある。バランスもそれなりに取れている。荒削りな部
分もあるにはあるが、十分戦えるはずだ」
「で…でも…」
「それじゃあなぜ勝てないのか?」
言おうとしたことを先に言われ、慶介は押し黙った。
「簡単なことだ。お前は自分で組んだデッキに自信がもてていない。自分で組んだデッキに自信を持てず
して、決闘に勝つこと等できるはずもない」
「でも…そんなの綺麗事…」
「では、自信を持てずに戦えばどうなる?決められるコンボも決められず、肝心なところでミスをするき
っかけにもなる。綺麗事では無い。自信を持つことは勝つことに繋がる。合理的にな」
「………」
慶介は自分のデッキを見つめた。それでは、今まで勝てなかったのは自分のせいだというのか?
「もしお前が自分のデッキに自信が持ってるようになったら…そしたら俺の所に来ると良い。相手になろう」
「え?…でも、君はここで静かにしていたいんじゃあ…?」
「なに、あまりじっとしているのも退屈なものでな。もっとも、こいつらのような連中は願い下げだがな」
不良を足蹴にしながらこともなげに言う。雄一は慶介を見つめた。
「お前はまだまだ強くなれる。強くなって、我がライバルとなれ」
「不思議な人だったな…」
帰り際、屋上を見上げながら慶介はそう呟いた。屋上にはまだ、ぼんやりとだが人影が見えた。
「自信をもつ…か…」
持てる筈がない。最初はそう思ったが、雄一に言われると、何故かはわからないができる気がした。
それに…
(ライバルか…そんなこと言ってもらえたの、今までなかったよ…)
強くなろう。強くなって、認めてもらおう。いつの間にか、心でそんなことを考えている慶介であった。
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