二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: どう森小説「ROMvsバグ」 復活版 誰か来て…(切実) ( No.39 )
日時: 2008/09/11 18:50
名前: イベント三人組 ◆tY1wmpYRPQ (ID: bdGTRweV)

第18話 閉鎖空間

 スプリングエリア。どちらかと言うと安定した気温を持つ戦い易い場所であろう。春雨さえも無い青空が広がる都市エリアの港、そこには一際目立つ大きな船があった。いわゆる豪華客船だろう。

「何もないな。これほどの船なら敵ぐらいは居ても良いのに」

 船内の部屋全てを探しても、敵の姿は無い。客室、食堂、操縦室、船上のデッキなど。手当たり次第に散策したはず。

「あとはあそこだけか…」

 1つだけ探してない場所があった。一階の階段の横にあった、鉄の扉。おそらく、内側から鍵がかけてあるんだろう、どれだけ力を入れて押したり引いたりしても、ビクともしなかった。

「さあて、鍵をかける程大事な物があるんだろうけど…」

 今、その扉から約3メートルの場所に居る。そして、おもむろにその扉へ向けてレーザーガンを向ける。

「そいつを…拝ませて貰いますか」

 そして、レーザーガンの引き金を引いた。扉は、そのレーザーで打ち抜かれた……ように思えたが、そうでは無かった。[バチッ!]という音と共に、レーザーがはじかれた。

「なに!?」

 自分でも思う程、素っ頓狂な声をあげた。レーザーが鉄の扉にはじかれるなど、有り得ない現象。でも、今現実でそれが起こった。

「何だこの鉄は…。見たことも無いぞ!………少し貰うか」

 こんな時に悠長な事だと思うが、ダンにとっては大真面目である。自分の持ち物から鑢(やすり)を取り出す。それて、鉄の扉を削った。でも、更におかしな現象が起きる。鑢を使っても、扉には傷1つつかなかった。もう頭がこんがらがってくる。

「何だよ!この扉ーっ!」

 その時、急に頭の中に答えが浮かんだ。いや、確実では無いが。

「これは…バグか…?」

 確かに、こんな常識外れの物、こんな世界を作るのに比べたらバグなら容易く作れそうである。

「あ!やっと見つけた。ダンさーん!」

 考えるのは、強制的に中止となった。廊下の向こうから、紫の鼠…ジャンが駆けてくる。

「ジャンか、何故ここが分かった?」

「いやー、外から船のデッキに居る所を見たから来たんだ!仲間は多い方がいいもんなー!」

「そうか…」

 それだけ言った。ここに用はもう無い。ここを出るか。

「おいー!置いてくなよー!」

 ジャンは後を追いかけてくる。

「お前はお前で信用できないからな」

 前だけを見て言った。なるべく顔を見たくない。

「おいらが裏切り者って事か?何でだよー!」

「モノトーンに雇われるくらいだからな」

「いや、決定権がおいらには無いし…」

「ザイラがここにいないとも言い切れない」

「なんだよそれー!根拠が無い理屈じゃなかー!」

「勝手にしろ」

「…お言葉に甘えて」

「やれやれ…」

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 豪華客船の前、そこには1人の人影があった。

「誰かがここに入って行ったね。待ち伏せよう。すれ違いになって逃げられる可能性がある」

 見方か敵か、生か死か。運命はどこへ傾くか。