二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: どう森小説「ROMvsバグ」 復活版 誰か来て…(切実) ( No.44 )
日時: 2008/09/14 19:20
名前: イベント三人組 ◆tY1wmpYRPQ (ID: bdGTRweV)

第23話 不幸な幸運

 ウインターエリア。比較的山頂付近。

「かーなーらーずー。僕らーはでーあうだろー」

 呑気な歌が聞こえる、音程をかなりはずした。
 
 楽勝だってばー♪相手はたった7人!?あの時は何百体の敵を相手にした僕には楽勝だって〜

 ちなみに、あの時とはどの時の事だろうか。

「あー。いっそのことまとめてかかって来ちゃっていいのにー。おーい敵ー、出てこーい!」

 手をメガホンにして、辺りに声をばら撒く。

「ならば私と手合わせ願う」

 落ち着いた声が後ろから聞こえた。本人は冗談のつもりだったんだけど、本当に出てきてしまった。

「ナイスタイミング!丁度戦いたくてウズウズ……して…た?」

 180°回転しながら言ったが、途中で止まる。なにせ、その声の持ち主は、漆黒の鎧に身を包んだ、どう見てもただ者ではないというか、ただで勝てそうにない男だったのだから。

「えーっと…」
「私は[漆黒の騎士の化身]、[ジルコニア]だ…」

 (言葉で)先手を取られた。威圧感がすさまじい。

「…僕は炎斗、まあ、何て言うかな…?…とりあえず宜しく」

「覚悟はいいな…?」

 相手は、炎斗の名前を知ると、おもむろに剣を抜いた。でも、炎斗はどうでもいいこと。なぜなら。
 漆黒の騎士か…。何でもいいけど、とりあえず。「こんなの相手に勝てるかっ!!」

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 どーやって倒そうか…。短剣は…あの鎧には効きそうにない。バッグの料理道具を…使っても同じか…。でも動きは遅そう…、よし!
 目の前の漆黒の鎧をまとった者。一騎打ちで到底勝てる相手ではない。いや、こっちが10人でも勝てそうにない。鎧に弾かれて傷ずら与えられないだろう。そんな結果、考えたのは。

(…逃げちゃえ)

 逃走。生き抜く為。今ここでまともに張り合ったら開始早々犬死にになりかねない。とりあえず、短剣を取り出す。
 適当な所で一気に逃げる……なるべく早く。

「相手に取って不足なし!いざ、勝負!」

 短剣を抜いたと、ほぼ同時。漆黒の鎧騎士は、離れたそのままの位置で剣を振った。てっきり接近勝負かと思思っていた炎斗は、予想外の事態に対応が遅れる。振られた剣からは、衝撃波が放たれ、一瞬の内に炎斗へと辿り着く。

「え!?うそー!?」

 言葉は呑気だが、結構ギリギリでよけた。横によけた後は、なんとかしゃがみの体制に戻った。さっきまで炎斗が居た場所は雪が裂け、地面がむき出しになっていた。後ろにあった木は見事なまでにバキバキに斬られていた。
 うひゃー、これくらったらひとたまりもないよ。
 なんて思うのもつかの間。すぐに第2撃が来た。当たってたまるかとまた横によける。
 これじゃあ逃げる暇もないよ、っていうか逃げても衝撃波の餌食だよ!
 思考を続ける炎斗だが、突然、文字通り、目の前が真っ白になる。それまでは一瞬の出来事だった。気がつけば、見えるのは蒼い空の景色。そこで気づいた。「僕は吹き飛ばされている」

 かなり飛ばされたのだろう、周りに木が一本も無い雪の坂道に、身体が叩きつけられた。一回バウンドして、再び雪面に落ちた時は、ゴロゴロと転がっり仰向けの状態で止まった。
 やっと止まった…。それにしても、何が起こったんだろ?いきなり飛ばされ…。

[ゴゴゴゴゴゴゴ……]

 え?何?地震!?それにしても……変な感覚だ。何か…落ちて行くような…。って、あれ?本当に落ちて行くよ!?
 また、少し遅れて気づいた。そう、自分は落ちている、大量の雪や轟音はと共に。

「あ、これって……うわあああぁぁ!?」

それは、すなわち…、

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「雪崩…か…」

 先程の場所、戦った少年の少し前の地面に衝撃波を当て、吹き飛ばすまでは良かったものの、その矢先、すごい轟音が少年を飛ばした方向から聞こえて来た。恐らく雪崩が起きたのだろう。すなわち、そのくらい雪がもろい場所と判断できる。そんな場所に自分が行ったら……。

「まあ、雪崩に巻き込まれて、生きていればまたいつか戦うだろう。本当に…生きていれば」

 漆黒の鎧のその男は、たったいま戦場だった場所を後にした。

【炎斗 雪崩に巻き込まれる】
【ジルコニア 山頂近くで移動開始】