二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: どう森小説「ROMvsバグ」 復活版 誰か来て…(切実) ( No.47 )
日時: 2008/09/18 01:40
名前: イベント三人組 ◆tY1wmpYRPQ (ID: bdGTRweV)

第24話 紅美鈴

 サマーエリアの山道。一際木が少ない場所での事。歩く人影が一つ。
 遂に…来たんだ……全てを終わらせる時が…!
 足取りが重い。疲れてないはずなのに。
 この恨みは……もう消すことはできないだろう。レオ…それに…もう一人男…。奴らと戦えるのであったら、障害は消し去る……まずは2人か…。
 なんだか感覚がおかしいな…ああ、目の力が抜けていた、ピントが合ってなかったな…。
 彼の歩く姿は、まるで墓から這い出たゾンビのようだった。自分ではちゃんと歩いているつもりだろうが、一歩踏み出す度に、重心が右へ左へとずれる。
 気がつけば、道の反対側からは、人影があった。敵なら排除し、味方なら合流……いや、今は一人がいいな。
 感覚が五メートル位になった頃、相手の方から言葉は発せられた。
 前者か後者かは、姿を見れば分かる。味方にこんな奴はいない。
 かけられた言葉それは…。

「私は[紅美鈴ほんめいりんの化身]、[キャンサー]といいます。敵だからには手合わせ願いたい」

 結果は、前者だ。

「いいだろう…。俺の目的を果たすためにもな!」

 斧をチャイナドレスに鍔無しの人民帽で、装いも中国人風の敵に向ける。
 それにしても、バグ軍団はもっとおぞましい敵軍団かと思えば、最初に出てきたのがファンシー系の女性とはいかがなものかと。
 俺は先手を取り斧を振る。相手も受け止めるなりよけるなりはしてくるだろう。
 振る瞬間目標物を定めようとした瞬間俺は気づく。敵がそこにいない、つまり忽然と消えていた。

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 気がついていた時には目の前が地面だった。
 視界の外から後頭部に一撃を食らわされた、回し蹴りとかそんな感じだろう。

「気持ちが高ぶって冷静な判断ができていないですね。それでは私にすら勝てませんよ?」

 何故だ…。俺は…、みんなを殺したこいつらを…こいつらを許さない。今までだってずっとそうして来た。バグが全て悪いはず…。

「…一つ質問をしてもいいですか?」

「・・・・・」

「あなたの目的は、曲がっている」

「なん…だと」

 俺の何が間違っている、モノトーンを落ち着かせることが出来た俺はバグを潰すだけ…。

——復讐?ちがう!俺は…村のみんなの仇を…!
——それって復讐…?
——いや、そんな醜い言葉じゃない!
——じゃあなんだって言うんだ…?
——復讐って…何だ?

「違いますか?少なくとも、あなたの目に理性はsりませんでした」

——何だ?…俺は一体何の為に戦ってるんだ!?

「答え…無。残念ですね、あなたの答えを聞きたかったのですが…」

——目的…今まで何をしてきた…!?俺は…!

「…。あなたは同じような境遇だと思ったのですが…。私は上のやり方にはうんざりしててね」

——上…?

「戦った気がしませんが…、これで終わりに…華符[芳華絢爛]!」

 遠距離技だろうか。近づいてくる気配はない。

「上…ね」

 自分でもいつの間にか言っていた言葉だった。ようやく思い出したから。

「終わりです!」

 その時間その場には、地面に出来た浅い穴、そして声が生まれた。

「端くれって言ったよな?あんた」

 これがその声。
 キャンサーの攻撃は、地面を削っただけで終わった。あいにく俺は身体が動かないわけでもなく、自殺志願者でもない。

「俺はレインのような純粋な心は持ってないし、シュウトらのようなバグ解除の能力もなければ、モノのように魔術も使えない」

 そう、まったくその通りだ。

「俺も端くれだ。でもよ、端くれにも大事な役割があるんだぜ?」

 端くれにできること、それは…。

「それは、そんな奴らを手伝うことだ!たとえ1%の力しかなくもな!少しでも上をサポートする。それが端くれだ!」

 しばしの沈黙の時間が過ぎる。そして。

「……そうですね。端くれも歯車なのですから!」

 キャンサーのその声は、何も濁りがない純粋な言葉だった。

【バール/ROM軍 戦闘開始、狂気修復】
【キャンサー(紅美鈴の化身)/バグ軍 戦闘開始】