二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: どう森バトル「ROMvsバグ」第38話 バグの秋 ( No.80 )
日時: 2008/12/04 23:10
名前: イベント三人組 ◆ixQSr5Dqhg (ID: GrtLFIxW)

第36話 約束(後編)

 さっきから防戦一方だ。なんとかレーザーガンで反撃するが一回もあたらず。
 そして剣の攻撃をよけようとバックステップをしたとき。下がった先に何かがあり、背中にぶつかった。車…!?
 そう、ゆっくりと確実に追い詰められている。攻撃をよけるうちに下がっていることも気づかなかった。

「くそッ!」

 バックステップができない…。剣がよけられない!
 絶望的なこの状況。そう思えた。
 が、横から何かが飛んできたと思うと、ゼオンに当たり怯んだ。

「ソガくーん!」

 飛んできた方向を見ると3ごうが巨大な石を担いでそこにいた。

「馬鹿野郎!逃げろって言っだろ!」

「ソガくん!動ける車を見つけたよ!」

「なにい!?」

 車。いくら動きの速い強者でも、それなら逃げられるかもしれない。敵のひるんでいる今しかない!すぐさま3ごうの走る方向へと走りだす。

「小賢しい真似を…」

 あっちも動き出したようだ。一刻も早く向かわねば。

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 見えた、車だ。

「ソガくん、運転できる!?」

 走りながら3ごうが聞いてきた。

「ああ、似たようなものなら運転したことはある!」

「分かった!」

 車に着いて運転席に飛び込むように乗る。助手席には既にラルスが乗っていた。
 ドアを閉めようとした時。俺の動きが止まる。来た方向を見るとすぐそこの鉄塔が倒れている。あたかも巨大なバリケードのように。その鉄塔の隙間の向こう側に3ごうはいた。

「お前…」

 そこまで言いかけた時。

「どういうつもりだ」

 向こうから聞こえるゼオンの声。それが続きを言った。

「二人は逃げて。やっぱり、ボクの足だと間に合わないし、ボクを待ってると車ごと終わりだよ。だから、足手まといにならないように、手助けをしてあげる」

 こちらからは、ほとんど向こう側が見えない状況、一体どっちに言っているのだろう。

「ふざける……」

 外に出ようとした時、ラルスが俺の肩を掴んだ。

「3ごうの気持ちを…わかってあげて」

 そのラルスの目は、涙で溢れ返っている。

「このままじゃ僕のせいでソガくんとラルスくんも巻き込んじゃう。だからこうした」

 3ごうの口調もいつもの呑気な雰囲気ではない。

「そんなこと言ってもよ、お前…」

「大丈夫!策はあるから!」

 またかき消された。少しは話を聞けって…。

「それ…。本当だな…?」

「うん、また会えるから!約束だよ!」

 なんだよ…。強がりやがって…。

「ああ!約束だ!」

 そうして俺は車を走らせた。これがどういうことになるかくらいは分かる。

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「その策とやら見せて貰おうか?」

「ボク、嘘ついちゃったな。本当は策なんてないのにね」

「そうか、やはりな…」

 持っている鉄骨に力を加える。鉄塔を倒した時に使った奴だ。

「でも…ボクは諦めない!」

 鉄骨を振りかざし、敵に向かう。

「愚かなことだ…」

 ゼオンも剣を抜く。そこからは一瞬だった。後ろに飛ばされ、激痛で段々と力が抜けていく。

「リー…ダー。ボクは…最…期まで…正義を…貫い…て……」

 それが3ごうの最期の言葉だった。


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 車は町中を抜けて出発地点からは程遠い場所に来ていた。

「ソガさん…僕は…3ごうは…」

「わかってる…。もう何も言うな」

 わかってる。だから聞かない。聞きたくない。
 秋の町を、一台の車が走っている。他に車は見当たらない、静かな町で。

【オータムエリアにて 3ごう/ROM軍 死亡】
【都市部 ソガ、ラルス/ROM軍 移動中】