二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋 ( No.10 )
日時: 2008/10/07 20:55
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

「ま、それはそうとして、着替え持ってきたわ。今日

ここに泊るんでしょ?」

と言って差し出された紙袋の中には、寝間着と替えの

メイド服が入っていた。

「帽子も脱ぎなさい。そのままじゃ、汗がこもっちゃ

うでしょ?」

「は、はい・・。」

いつになくしっかりしているビアンカに、戸惑うタバ

サだったが、驚くべきはそれだけではなかった。

「無理させちゃってごめんね、タバサ・・。」

普段のビアンカなら考えられないような台詞である。

タバサは何と言っていいか分からなかった。

「お父様にも言っとくわ。一日七食も食べるなって。」

「お、お嬢様、なにもそこまで・・・。」

タバサは言いかけたが、ビアンカは急にいつもの調子

戻ってばしりと言った。

「そのかわり!ちゃんと風邪治して、早く戻ってくる

のよ!料理できるのあんただけなんだからね!」

「・・はい・・ありがとうございます、お嬢様。」

返事をしながら、タバサはビアンカが大きく成長して

いたことをうれしく思い、少しばかり寂しくも感じた。

(これもラグナ様の影響なのかもしれませんね・・。)
思えばラグナが来る前まではずっと、ビアンカの人と

しての成長は止まっているようだった。友達が少ない

というのも原因の一つだろう。だがラグナが来てから

は、話し相手が増えたこともあってか、少しずつビア

ンカは変わり始めた。自分が数年かけてもできなかっ

たことを、ラグナはこの町に来てからのほんの短い期

間でやり遂げてしまった。それがタバサにすこし寂し

さを与えたのである。

「人間って、面白いですね・・・本当に・・・。」

独り言のようにタバサは呟いた。

「ん?何か言った?」

「え?ああ、いえ、なんでも・・。」

「そう?・・じゃあ、私はそろそろ帰るわ。風邪、早

く治しなさいよ?」

「はい、お嬢様。ありがとうございました。」

「いいのよ、別に。ラグナが帰って来ないうちに着替えなよ?」
それだけ言うと、ビアンカは帰って行った。タバサは

しばらくの間ベッドに横たわって、天井を見続けてい

たが、やがて起き上がって紙袋から寝間着を取り出した。