二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋 ( No.109 )
- 日時: 2008/11/08 23:59
- 名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)
アレクがカルディアの町に来てから数日たった。
宿屋でバイト?をしながらも、アレクは絶えずフィル
やラグナについて考えていた。ラグナと話す機会を伺
ってはいるのだが、何しろ宿屋の仕事も忙しく、仕事
の合間にミスト牧場を訪ねてみても留守なのであった。
「アレク、悪いけど雑貨屋に行ってここに書いてあるもの買ってきてくれるかい?」
ふと目を上げると、アンがメモと買い物バッグを差していた。
「ザッハに頼もうと思ったんだけど、あいつ逃げちゃってさあ…。」
「あ、はい、分かりました。行ってきます。」
アレクはバッグとメモを手に勢いよくドアを開けて出
て行った後、アンは微笑みながら思った。
(素直ないい子だねぇ。あの子ならあるいはフィルちゃんを…。)
そう思ったアンだったが、机に置かれたあるものを見
て、すぐに考えを改めるのであった。
アレクはなおも考え事をしながら雑貨屋に向かってい
た。もしラグナと話す機会があったとしても、どう話
せば良いのだろう?一歩間違えばひがんでるように思
われるだろうな、等と考えていた時、自分の名前を呼
ぶ声がした。
「あら?アレク様?」
目を上げると、たった今雑貨屋から出てきたばかりの
タバサが立っていた。
「あ、タバサさん…。こ、こんにちは。」
「どうかなさったのですか?難しい顔をしてましたが?」
「え?いや…それは…。」
ちょうどいい。タバサにもいくつか聞いてみたいことがあった。
「タバサさん…。聞いてもいいですか?」
「はい?なんでしょうか?」
「その…どうして、ラグナさんを好きになったんですか?」
聞かれて、タバサは驚いたような表情をした。
「…どうしてそんな事を御聞きになるのですか?」
「実は……かくがくしかじかで…。」
「…そうですか。フィルさんが元気がないとは聞いていましたが…やはり…。」
「すみません。別にお二人が悪いとか、そういう意味で言ったんじゃなくて…。」
「ええ、分かっています。どうしてラグナ様を好きになったか?でしたよね?」
「は、はい…。」
「…私、数週間前にここで高熱を出して倒れたんです。」
「え!?そうなんですか?」
「はい。その時たまたま病院が開いてなくて、ラグナ
様は私を御自分の家まで運んで、看病してくれました。」
「…本当に誰にでも優しくするんですね。」
「うふふっ。そこがラグナ様の良い所です。ラグナ様
は、他人が困ってるのを見ると、一生懸命その人を助
けようとします。他人の為にあそこまで一生懸命にな
れる人って、なかなかいないものですよね…。」
「……」
「ラグナ様のことは、皆が慕っていました。皆様魅力
的な方ばかりですし、私なんか見向きもされないので
はと思ったこともありました。それでも、ラグナ様は
私を選んでくださいました。正直言って、私には過ぎ
たる人です…。」
「タバサさん…。」
「フィルさんには悪いですけど、私にはラグナ様以外
の人は考えられません。なんといっても、私を選んで
くれた人なのですから…。」
結局はラグナと直接話さなければアレクの問題は解決
しそうになかった。ただ、ラグナが誰にでもいい顔を
して、人を弄ぶような真似をしないことは事実のよう
だった。そう考えながら雑貨屋に入りものを買う時に
なって、ようやく財布を忘れてきたことに気づくのであった。