二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋   ( No.114 )
日時: 2008/11/09 21:20
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

二日後。ようやくラグナを捕まえることに成功した。

ミスト牧場で、モンスター小屋からハンターウルフを

出してくる所をみかけたのだ。

「あ、ラグナさーん!ちょっと…。」

アレクが呼びかけると、ラグナの隣のハンターウルフ

が唸り声をあげて威嚇した。

「ヴォルフ、大丈夫。悪い人じゃないよ。…えっとアレクさん、何か用ですか?」

「いえ、ちょっと話したいことがあって…。ここでは

あれなんで、ちょっと場所を変えましょう…。」

「…?はあ…。」

二人は牧場の西の街道まで移動した。ひと目のつかな

い所まで来ると、アレクは単刀直入に切り出した。

「ラグナさん…あなたには、フィルさんが今どんな気持ちでいるか、分かりますか?」

「え…?そ、それはどういう…。」

「あなたが去年から続いていたフィルさんの病気の原

因を突き止め、治したことは聞きました。それが悪い

なんて言いません。だけど…そのせいでフィルさんは

今苦しんでるんです…。」

「……。」

「ラグナさん、あなたは…」

「僕は…放ってはおけなかったんです…。目の前で人

が苦しんでるのに、自分は何もしてあげられないなん

て、そんなにいやなことはないと思います。他の人た

ちも…ゴドウィンさんは特に…多分同じ気持ちだった

でしょう。何かしてあげられることはないかって…。

僕はたまたまですが、原因が分かりました。皆のそう

いう思いが、少しでも報われたらと…。」

「でもだったら…だったらどうして…!」

「もうやめて下さい…アレクさん……。」

その場の空気が凍りついた。アレクが振り返ると、そ

こには誰あろう、フィルその人が立っていた。

「フィルさん…どうして…。」

「偶然お二人が牧場を出ていくのが見えたんです…。

アレクさん、ラグナさんを責めないで下さい。ラグナ

さんは何も悪くないんですから…。」

「で、でも…。」

「放っといて下さい!アレクさんには何の関係もないんです!」

フィルの叫びの衝撃で、アレクは何も言えなくなった。

しばらくの間沈黙が続く。数分たった後、フィルは目

に涙を浮かべながら言った。

「ごめんなさい…。でも、本当に…」

本当に、何なのか。その後は聞けずじまいだった。フ

ィルは足早にその場から去っていってしまった。

「すみません、アレクさん…。でも、これだけは分か

って下さい…。僕はフィルさんを助けたかっただけなんです…。」

そう言うと、ヴォルフに跨ってラグナもどこかに去って行った。

その場に残されたアレクは、虚無と絶望と困惑の狭間

を彷徨っていた…。