二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋 ( No.125 )
- 日時: 2008/11/13 19:20
- 名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)
「……許さない…。」
「フン、何を許さんというのだ?お前一人で何ができ___?」
言いかけてリネットは言葉を切った。強烈な威圧感が
洞窟一面に広がった。
アレクは自分を縛ろうとした兵士の胸倉をつかむと、
これでもかと言うくらいの力を込めて殴り飛ばした。
殴られた兵士は地面をてんてんと転がり、白目をむい
て気絶した。歯が数本折れている。
「な、なんだ!?こいつに何が起こった!?」
アレクはリネットに目を向けた。リネットは背筋に寒
気を覚え、思わず一歩退いた。本来灰色であるはずの
アレクの瞳は真っ赤に燃え、髪は逆立ち、手で触れそ
うなくらいの闘気を漲らせていた。某アクションRPG
の主人公のような変貌ぶりである。
「こ、この野郎!」
一人の兵士が剣を抜いて飛びかかった。アレクは素早
く剣を抜くと軽く斬撃を受け流し、そのまま鳩尾にカ
ウンターの肘打ちを入れた。兵士は悶絶してその場に倒れた。
「フィルさんを傷つける奴は…許さない!」
「くっ…ええい!一斉にかかれ!」
「うおおおおおお!」
6人がかりで襲ってきてもアレクは動じない。次々と
攻撃を受け流し、峰打ちを入れ、同志討ちさせ、一人、
また一人と兵士は倒れていった。剣はあくまで防御の
みに使い、一切人を斬りつけることはなかった。
(こ、こいつまさか…『剣聖』の素質を…。)
リネットがそんな事を考えている間に、とうとう兵士
は一人残らず地に伏した。
「くっ…この…!」
リネットは拳銃を取り出して構えようとしたが、構え
る前にアレクは目にも止まらぬ速さで短刀を投げた。
短刀は見事拳銃に命中し、宙に浮いた。
「し、しまった…!」
時既に遅し。リネットが拳銃に手を伸ばす前にアレク
が剣を振るい、拳銃は真っ二つになった。
アレクはリネットの喉元に剣を突き付けた。
「…失せろ。死にたくなければな…。」
「くっ…。これで終わったと思うなよ!」
捨て台詞を残し、リネットはどこかへ逃げて行った。
「す…すごい…。」
フィルは自分の目の前で展開される戦いに目を見張っ
た。一人も殺すことなく、アレクは戦いに勝利した。
「フィルさん…大丈夫ですか…?」
そう言いながら、アレクはフィルを拘束していたロープを切った。
「あ…はい、大丈夫です…。」
アレクの瞳は元の灰色に戻っていた。
「アレクさん…どうやってあんなすごい力を出したんですか?」
「分かんないです…。ただ…フィルさんを守らなきゃって…そればっかり考えて…。」
その言葉を言いきらない内に、フィルは突然アレクに
抱きついた。
「わっ…ちょ…フィ、フィルさん…。」
「ごめんなさい…私…あなたにひどい事を…ごめんなさい…本当にごめんなさい…」
「あ…ああ、そんなに気にしないでください。僕も悪かったんです…。」
フィルは涙にぬれた顔を上げた。
「怖かったです…。本当に…。」
「フィルさんが無事で何よりです…。あなたにもしも
の事があったら、僕は自分の事を一生許さない所でした…。」
「アレクさん……。」
フィルはアレクの胸に顔をうずめた。自分の事を誰よ
りも大切に思ってくれている人の胸に…。