二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋   ( No.153 )
日時: 2008/11/28 22:03
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

数分後、タバサの案内でエンドールの家らしき場所に

着いた。タバサがドアをノックする。

「はい、どなたですか…ああ、タバサじゃありません

か。久しぶりですね。いつ帰ってきたのですか?」

「お久しぶりね、エンドール。つい先ほど里に戻って

来たの。…婚約の報告も兼ねてね…。」

「婚約?あ、そちらの方ですか?」

「初めまして、ラグナといいます。」

「初めまして。さあ、どうぞ上がっていって下さい。」

エンドールの家に上がると、まだ幼い銀髪の子供が走

ってきた。しかし、エルフとはどこか違う…。

「おい、ここは人間の来る所じゃないぞ。」

「こら、ジェイク。お客様に失礼だろう。」

「ふん。さっさと出て行けよな、人間。」

エンドールがもう一度叱ろうとする前に、ジェイクは

家を出てどこかに走り去った。タバサは言う。

「ジェイクも元気そうね。」

「す、すいません。どうもあの子、人間が嫌いなよう

で…。帰ったらよーく言って聞かせますので…。」

「ああ、いえ、気にしないでください。…でもあの

子、エルフとはちょっと違うような…。」

「ええ、そうです。ハーフエルフなんです。」

「え!?ということは…。」

「はい、人間の女性との間にできた子供です。」

「そうなんですか…。でも、どうして人間の女性と…
?」

「ああ、それはちょっと長い話になるんですが…。」

そう言ってエンドールは語り始める。


「実は6年前、エルフの森に一人の人間が迷い込んできたのです。」

「そうなんですか?」

「ええ。その女性はシルバーという女性でした。彼女

は薬草を取りに森に入った際に道に迷い、何日も歩く

うちにここまでたどり着いたようなのです。当時は人

間を嫌うエルフも多かったので、誰も彼女を助けよう

とはしませんでした。」

「そこでエンドールが彼女の面倒を見ることに決めたんです。」

「なるほど…。」

「私が言うのも恥ずかしい話ですが、シルバーは美し

く、聡明な女性でした。私は彼女の面倒をみるうちに

次第に惹かれていったんです。…シルバーは、私の申

し出を受けてくれました。ジェイクの髪の色は、母親

譲りなのです…。」

「そうなんですか…。それで、そのシルバーさんは今どこに?」

「…もうここにはいません。ジェイクが生まれたばか

りの頃、シルバーの両親がこの里の場所を探し当て、

彼女を連れ帰ってしまいました…。ジェイクは母親の

顔を知りません。母親の愛情を受けて育ったのならば

、人間嫌いも少しはましになっていたかもしれませんね…。」

エンドールはどこか遠くを見るような表情で話し終えた。

「すいません…。なんか、嫌なこと思い出させちゃったみたいで…。」

「いえいえとんでもない。私はいつの日か、シルバー

にまた会えると信じています。永遠に別れたわけでは

ありませんから…。私の方こそ申し訳ない。自分の事

ばかり話してしまって…。」

ラグナはエンドールを見、そしてアリアナを思い出し

た。タバサには古くからの良い友達がいる。ラグナに

はそれが少しばかり羨ましく思えた。