二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋 ( No.157 )
- 日時: 2008/11/30 23:43
- 名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)
「…そうですか…。ラグナさん、記憶喪失なんですね…。」
「はい…。自分がどこで生まれたのか、何をしてきたのか、全く分かりません…。」
「そうですよね。辛いことも多いでしょうが、タバサが見込んだ人ならきっと大丈夫ですね。」
「エ、エンドール…あまりそんなふうに…。」
「はっはっは、いえ、すみません。あ、そうだ。私からも一つ報告があったんです。」
「なんですか?」
「実は今度、アルヴァーナという町に引っ越すことになったんです。」
「え?ではエンドール…あなたも…。」
「ええ。人間との交流を深めるため、人間の町に住むことにしました。」
「………」
「おや?どうしました?ラグナさん。」
「あ、いえ…。タバサさんの友達って、皆人間と仲良
くしようとしてくれてるんだなあって思っただけです。」
「ラグナ様…。」
「そうですね。ただ、やはり一番意思を強く持って動
いていたのはタバサでした。タバサがいなければ、私
も人間の町に行こう等と思うことはなかったでしょう。」
「…私はただ…エルフも、ドワーフも、人間も、そし
てモンスターも、わけ隔てなく暮らせる時代が来れ
ば、争いもなく皆が平和に暮らせると思っただけで
す…。ただの理想ですけど…。」
そう。ただの理想である。思い浮かべるだけでは何の
役にも立たない。だから少しでも実現に近づきたい一
心で、人間の町に来た。そして、自分の理想を現実の
ものとする生涯の伴侶が今、自分の隣にいる…。
「僕はその理想、とても素敵だと思います。きっとア
リアナさんもエンドールさんも、その志に惹かれてタ
バサさんと友達になったんだと思います。」
「あははは。ラグナさんって意外と鋭い方ですね。…
ラグナさん。タバサとあなたが出会ったことは、きっ
と運命の巡り合わせなのでしょう。タバサの夢を支え
てあげられる人間は、あなただけだと思います。」
「エンドールさん…。」
「どうか末長くお幸せに。これからもタバサを支え続けてあげて下さい。」
「…はい!」
「ラグナ様…。」
「?…なんですか?タバサさん。」
エンドールの家を出て、次は里長の家に向かう所だった。
「…いえ、やっぱりなんでもありません…。」
言葉にした所で、十分には伝わらない。だが、自分の
夢を支え続けてくれると言ってくれた、ラグナへの感
謝の気持ちを込めて、タバサはラグナの頬にキスをした。
「わわっ!?ちょ…急にどうし…。」
「うふふっ♪さあ、里長の家に急ぎましょう。」