二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋   ( No.194 )
日時: 2008/12/19 23:40
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

「私…が…?」

「あのドラゴンは耐久力が強すぎます…。僕の力だけ

で倒そうとすると、長時間苦しませながら倒さないと

いけません。だからせめて…苦しむ時間は少しで済ま

せてやりたいんです…。」

「ラグナ様…。」

ここまでひどい状態になっても、それでもラグナはモ

ンスターへの憐れみは忘れていなかった。この人を選

んで良かった。状況的にそんなのんきなことを考えて

いる場合ではないが、今改めてタバサはそう感じたのだった。

「やってくれますか?タバサさん。」

「はい、もちろんです…。」


「…どうやら、ドラゴンをはじまりの森に返すつもりらしいのう…。」

「…でもいくらなんでも、剣だけの魔力じゃ限界があるだろ。」

「剣だけではない。よく見てみい…。」

言われてレオンは目を凝らして見た。タバサがラグナ

の剣に手をかざし、呪文を詠唱している。

「タバサの奴…あいつに魔力を分け与えているのか!?」

「想いが通じあう者同士だからこそできることじゃ

よ…ずっと一人で何も見ずに走り続けたお前にはわからんかもしれんがのう…。」

「…へっ…そうかもしれねえな…。」


『インフェルノ・ブラスト!』

ラグナの剣に炎の魔力が宿った。それと同時に今度は

ラグナが唱え始める。

『古に眠りし大蛇の王よ 炎の化身となりて蘇り 

 仇なす者を焼き尽くせ____』

剣に宿った炎が次第に大きくなっていく。ドラゴンは

怒りのこもった瞳で、ラグナとタバサに襲いかかろう

とした。ドラゴンが炎を吐こうと口を開いたその時_____

『獄炎・八岐大蛇!』

剣から八つの頭を持つ炎の大蛇が飛び出した。八つの

頭それぞれが意思を持ち、ドラゴンの首、胴、手足、

翼、至る所に喰らいついた。ドラゴンは逃れようとし

たが、八つの大蛇をかわしきれるはずもなく、ついに

炎の大蛇に完全に拘束された。ドラゴンは逃れようと

身悶えし、悲鳴のような吠え声を上げ_______

そしてついに、光の束となって消え去った。


「終わった…でも…エルフの森が…。」

ドラゴンに荒らされた森はひどい状態だった。あちこ

ちの木が焼き払われ、倒壊した家は十数軒にも及んだ。

「大丈夫です…。まだ、タバサさんにもらった魔力が残ってます…。」

「…え?そ、それはどういう…。」

答える代わりに、ラグナは剣を天にかざし、唱えた。

『恵雨・奇稲田』

そう唱えると同時に、しとしとと雨が降り始めた。次

の瞬間、タバサは自分の目を疑った。全てが元通りに

なっていく。壊れた家も、焼かれた森も、荒れた大地

も、全てが再生していく。ふとタバサは、肩がもう痛

まないことに気づいた。見ると、傷は癒えて元通りに

なっていた。戦いで傷ついたエルフたちも、皆嘘のよ

うに元気になっていく。やがてエルフの森は完全に再生した。

「ラグナ様…あなたは一体…。」

そう聞こうとする前にラグナは力尽きたように倒れこ

んだ。慌ててタバサはラグナを抱きとめた。

「ラグナ様、しっかり…。」

「スー…スー…。」

タバサはほっと胸をなでおろし、ラグナの寝顔を見つめた。

「ラグナ様…ありがとうございます…エルフの森を守ってくれて…。」